日本において、がんは主要な死因ですが、近年その生存率は着実に改善しています。国立がん研究センターの最新データは、日本のがん医療が目覚ましい進歩を遂げ、特にがん生存率が向上している実態を明確に示しています。本記事で詳細を解説します。
日本におけるがん生存率の全体的な傾向
日本国内では、2023年に約38万人以上ががんで亡くなるなど、がんは依然として国民にとって深刻な脅威です。しかし、この厳しい現実の中で、がん患者さんの生存率は確実に改善の兆しを見せています。
国立がん研究センターの報告によると、2009年から2011年にがんと診断された患者さん全体の5年相対生存率は64.1%でした。さらに、2011年から2013年症例を対象とした大規模な調査では、この数値が68.9%にまで上昇していることが明らかになりました。これは、1990年代後半の約61%と比較しても着実な向上を示しており、日本のがん医療全体の進歩を明確に裏付けるデータと言えます。
がん研究と医療の進歩を示すイメージ。生存率向上への取り組み。
進行がんにおける生存率向上と希望
がん医療の進歩は、早期がんだけでなく、進行したがん(ステージIII・IV)にも新たな希望をもたらしています。国立がん研究センターによる約39万人の進行期がん患者データ分析から、「診断後、一定期間を生存した患者さんは、その後の生存率が上昇する」という重要な知見が得られました。これは、「生き延びる」ことが予後改善に繋がる可能性を示唆します。
具体例として、ステージIV胃がんのデータを見ると、診断直後の5年生存率はわずか約6%ですが、診断後1年生存で12.3%、2年生存で25.9%、3年生存で41.8%、そして5年生存に至った場合の生存率は61.2%と、期間経過と共に大幅な改善が見られます。
同様に、膵臓がんステージIVでも、診断直後の5年生存率は1.3%と厳しい数字ですが、診断後5年生存者の生存率は42.5%に上昇。これらのデータは、進行がんでも治療を続け、「生き延びる」ことが、長期生存の可能性を飛躍的に高める強力な根拠です。
国立がん研究センターの最新データは、日本のがん医療の進歩と全体的な生存率向上を示しています。特に進行がんであっても、診断後の一定期間を「生き延びる」ことが、その後の長期生存の可能性を大幅に高めるという事実は、治療に取り組む患者さんやご家族に大きな希望を与えます。このデータは、がんと向き合うすべての人々を力強く勇気づけるでしょう。
【データ出典】国立がん研究センター