タレントの中居正広氏(52)に関連し、「性暴力」があったと認定したフジ・メディア・ホールディングスおよびフジテレビ設置の第三者委員会に対し、中居氏側の代理人弁護士らが人権擁護の観点から、その認定の“証拠”開示を求めている。一連のやり取りの中、6月3日、第三者委員会は「二次被害を与える危険性を懸念」などを理由に、開示のみならず今後のやり取りも差し控えるとの回答を示した。
タレント中居正広氏(写真)。性暴力認定を巡り第三者委員会が批判を受ける。
A子さんが親しい友人に吐露した苦悩
こうした状況の中、6月5日発売の『週刊文春』は、中居氏とのトラブルに関するA子さん(同誌ではX子と表記)が親しい友人に打ち明けた胸の内を掲載し、波紋を広げている。ワイドショー関係者によると、A子さんは橋下徹氏や古市憲寿氏らがA子さんやその代理人に話を聞かず、中居氏側の発言のみを一方的に信じているとし、以下のように語っているという。
「加害者側から聞いた話を事実だと思い込んで社会に言い触らしています。声が大きいから信じる人も一定数いる。橋下徹さんの『失恋事案』発言が独り歩きして、誹謗中傷、脅迫が止みません」
橋下徹氏と古市憲寿氏、第三者委員会を猛批判
中居氏を巡る第三者委員会の対応に対し、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(55)と社会学者の古市憲寿氏(40)が猛烈な批判を展開している。“失恋事案”という言葉については、橋下氏が5月22日に自身のX(旧ツイッター)で言及した。橋下氏は中居氏やその代理人弁護士以外の関係者からの問い合わせに応じたことを明かしつつ、自身の発言は「世間からすると中居氏擁護のための発言のように感じられるかもしれません」「あくまでも僕自身の見解」とした上で、「僕の把握している事実を基に、僕が法律家として中居氏の行為を評価すると『性暴力』にはあたらないという結論になりました」とコメントした。
さらに橋下氏は、「仮に相手方女性が意に反したと言ったとしても、そのことだけで第三者委員会が中居氏を性加害者として断罪できるわけではありません」「そのようなことを許してしまえば、いわゆる失恋事案においても、後に意に反していたと相手方女性から主張されただけで社会的抹殺にも等しい最も厳しい制裁が加えられることにもなりかねない」と述べた。A子さんが主張するのは、この「失恋事案」発言が一人歩きし、まるでA子さんが中居氏に失恋した結果であるかのような捉え方をされ、多数の誹謗中傷につながっているという点だ。
橋下氏は6月5日午後、再びXを更新し、「僕は本件自体を失恋事案とは言っていない。男女の気持ちの行き違いの事案だと」と説明。加えて、「相手方の内心だけで不同意・同意を決めれば失恋事案でも後に責任追及を受けてしまうと一般論を言ったまで。また、僕が中居さん側からの事実しか聞いていないと女性側は言われているようだが、そうであれば女性側から事実を聞いてもいい。中居さん側、女性側から事実を聞いて、性暴力にあたるかどうか判断したい。フジテレビ第三者委員会よりも、よほど的確に評価できる自信はある」と綴り、双方からの聞き取りを行う意欲を示した。
第三者委員会が「やり取り差し控え」の回答を出した6月3日には、橋下氏は強い言葉で委員会を糾弾している。「中居氏の人権への配慮が皆無な時点でフジテレビ第三者委員会は中居氏にとって中立でも最終決定権者でもない。勘違いも甚だしい」「証拠の開示もなく、ある人間の行為を性暴力認定するなど、検察組織や裁判所でもやらない。フジ第三者委員会は何様だ?」と、その対応を厳しく批判した。
社会学者の古市憲寿氏(写真)。フジテレビ第三者委員会の対応を批判。
時を同じくして、中居氏と共演経験があり親交があったことを公言している社会学者の古市憲寿氏も、自身のXで第三者委員会に対して「迷走していますね」と切り捨てた。「『二次被害』というマジックワードを武器に、説明責任から逃げ続けるなら、第三者委員会の信頼性そのものが失われかねない」と述べ、第三者委員会の存在意義そのものに疑問を呈している。
まとめ
中居正広氏を巡る「性暴力」認定問題において、第三者委員会が認定根拠の証拠開示を拒否したことに対し、中居氏側弁護団が開示を求める一方、橋下徹氏と古市憲寿氏が委員会の対応を強く批判している。特に橋下氏は、委員会の認定プロセスや中居氏の人権軽視を指摘し、古市氏も説明責任を果たさない姿勢が委員会の信頼性を損なうと訴えている。また、被害を訴えるA子さんは、「失恋事案」といった表現から派生した誹謗中傷に苦しんでいる現状が報じられている。この問題は、第三者委員会の透明性や認定プロセスの妥当性、そしてメディアや識者の発言の影響力など、複数の論点を提起している。