裏金問題で非公認も…東京都議選候補者の「自民党」ポスターが物議

東京都議会議員選挙が迫る中、政治資金の不記載問題に関与し、自民党から非公認となった立候補予定者が、街中に「自民党」と明記したポスターを掲示し続けているとして批判の声が上がっている。有権者に誤解を与えるとの指摘もあり、問題となっている都議や自民党東京都連の対応が注目される。

都議会の自民党会派「都議会自民党」が実施した調査によると、2019年と2022年の政治資金パーティー券販売において、ノルマ超過分を政治資金収支報告書に記載しなかった、いわゆる「中抜き」に関与した都議は、現職16人、元職など10人の計26人に上る。会派は、このうち次期都議選に出馬予定の幹事長経験者6人について、今年1月23日の会見で公認しない方針を表明した。

都議会自民党議員らによる政治資金不記載問題に関する記者会見の様子都議会自民党議員らによる政治資金不記載問題に関する記者会見の様子

非公認処分が下されたにもかかわらず、都議選の告示日直前になっても「自民党」とアピールするポスターを貼り続けている立候補予定者が確認されている。記者が目視で確認したのは、収支報告書への不記載額が251万円とされる三宅茂樹議員(世田谷区選出)と、不記載額132万円とされる鈴木章浩議員(大田区選出)のポスターである。

三宅議員は自民党現職都議の中で最多となる当選7回を数え、2021年から2023年には都議会議長を務めたベテランだ。裏金問題を巡る1月23日の会見では、収支報告書の不記載について「いつから始まったかは定かではない」と経緯の詳細を説明しなかった。

一方の鈴木議員も当選5回だが、2014年に都議会で質問中だった塩村文夏議員(当時)に対し「早く結婚したほうがいい」などとセクハラ野次を飛ばし、謝罪に追い込まれた過去がある。その後、都議会自民党を一時離脱し、翌年に復帰。2019年の政治資金パーティー開催時には同党幹事長を務めていた。

政治資金不記載問題に関与した鈴木章浩都議会議員の政治活動用ポスター政治資金不記載問題に関与した鈴木章浩都議会議員の政治活動用ポスター

問題となっている両議員のポスターは、非公認処分後も掲示が続けられていた。三宅議員のポスターには「東京を守る責任 TOKYO自民党」と、鈴木議員のポスターには「ゆるぎない信念で 東京の未来をひらく! 自民党」と、ポスターの約3分の1のスペースを使って「自民党」の文字が明記されている。どちらも他の自民党政治家と並んだ「2連ポスター」の形式を取っており、三宅議員は朝日健太郎参議院議員、鈴木議員は衆議院第26選挙区支部長である今岡植氏の名前と写真が共に掲載されている。

非公認の処分が下された後も、なぜこのようなポスターの掲示が続けられているのか。両議員の事務所に取材を申し込んだ結果、鈴木議員の事務所からは回答が得られなかった一方、三宅議員の事務所関係者は次のように説明した。「今年1月から貼りっぱなしになっており、三宅議員からは剥がすようにという指示は受けていません。これは選挙運動用ではなく、あくまで演説会の告知のためのポスターであり、都議選の告示日である6月13日までは掲示していても問題ないという認識です」

実際に三宅議員のポスターを詳細に見ると、左下に小さな文字で「演説会 令和7年7月20日(日)三軒茶屋駅頭」と記載されていた。鈴木議員のポスターにも「演説会 日時:令和7年8月3日(日)14時~ 場所:蒲田駅西口」とあり、どちらも今回の6月22日投開票の都議選後も自民党議員として活動していることを前提としたかのような日程が記されている。

公職選挙法では、選挙運動用のポスターは公示・告示日から投票日前日までの期間しか掲示が認められていない。しかし、特定の個人が際立たない仕様の「政党などの政治活動用ポスター」は、公示・告示日までであれば時期を問わず掲示が可能である。そのため、政党名や他の議員の名前・写真を大きく載せ、数ヶ月先や数年先の演説会の「予定」を添えた2連ポスターを選挙期間に入るまで貼り続ける手法は、国政選挙を含む全国的に常態化している。

このように、政治資金を巡る問題で自民党の公認を得られなかった候補者が、合法的な政治活動用ポスターという建前で「自民党」を強くアピールし続けることは、有権者にとって混乱を招きかねない行為として、SNSなどでは厳しい批判の声が上がっている。この問題が、来る東京都議会議員選挙にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。

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