日本駆け込み寺、創設者・玄秀盛氏が明かす過去の深刻な問題

公益社団法人「日本駆け込み寺」は、幹部職員のコカイン所持逮捕という衝撃的な事件により、現在存続の危機に瀕しています。こうした厳しい状況の中、団体の創設者であり前代表理事の玄秀盛氏(69歳)が、近年の苦境だけでなく、過去に組織内で起きたという二つの重大な問題を新たに語り始めました。歌舞伎町を拠点に活動するこの団体の裏側で何があったのか、詳細を見ていきます。

元代表理事時代の疑惑:詐欺会社との不透明な繋がり

玄氏は2002年に日本駆け込み寺の前身となるNPO法人を設立し、15年間にわたり代表理事を務めました。一度自己破産を機に17年から7年間は他の職員にその座を譲っていましたが、昨年6月に代表理事に再就任。しかし、わずか1年足らずで今回の事件が発生し、引責辞任するに至りました。

玄氏が明らかにしたのは、自身が代表に返り咲く前の2022年6月から約2年間、会社経営者A氏が代表理事だった時代の出来事です。日本駆け込み寺は歌舞伎町内の雑居ビル1階にありますが、A氏が22年末から突如、2階を駆け込み寺のフロアとして借り上げ、私的に利用し始めたといいます。その2階にはよくわからない会社がいくつも登記され、さらに悪質な詐欺会社の元社員までが出入りするようになったとのことです。

玄氏が言及する詐欺会社とは、投資コンサルタント会社「FRich Quest」(フリッチクエスト)。この会社は、インド洋の島国セーシェルの会社への出資を謳い、高配当を約束することで約3300人から約200億円もの出資金を騙し取ったとして問題となりました。社長だった森野広太被告は、昨年1月に懲役7年、罰金300万円の一審判決を受けています。

森野被告は2023年2月に警視庁に逮捕されていますが、その数カ月前、玄氏はA氏の紹介で森野被告と一度会ったと話しています。それは22年1月にフリッチ社に強制捜査が入った後のことでした。玄氏が森野被告の素性を知ったのは逮捕されてからであり、A氏が退任した後に調べた結果、森野被告が過去に代表を務めたXという会社が駆け込み寺と同じ住所で登記されていたことも判明したといいます。

フリッチ社の元社員たちが2階で何をしていたのか、玄氏は「わからない」としていますが、引っ越しを手伝った職員からは、フリッチ社の事務所にあった家具や大きな金庫が3つ運び込まれてきたと聞いています。当時、2階は団体の職員が出入りできる状況ではなく、団体とは無関係な人物が出入りしていたようです。

日本駆け込み寺創設者・玄秀盛氏日本駆け込み寺創設者・玄秀盛氏

職員による相談者との深刻なトラブル

さらに玄氏は、A氏が連れてきた職員Bが、駆け込み寺に相談に来た20代の女性と「男女関係になるトラブルを起こしたことがある」と明らかにしました。この女性はシネシティ広場で寝泊まりする、いわゆる「トー横キッズ」と呼ばれる状況にありました。

職員Bが相談に来たこの女性を自身の自宅に連れ込んでいたことが発覚したのです。玄氏は今回のコカイン逮捕事件と同様に、このような行為は「言語道断」であるとし、事態を把握した後、Bを辞めさせたとのことです。

練炭を手に、駆け込み寺が直面する問題の重さを語る元代表練炭を手に、駆け込み寺が直面する問題の重さを語る元代表

まとめ

日本駆け込み寺の創設者である玄秀盛氏が今回語った過去の二つの問題、すなわち元代表理事時代の詐欺会社との不透明な繋がりや、職員による相談者女性との不適切な関係は、現在の組織が直面する困難が、単発的なものではなく、過去からの構造的な問題を抱えている可能性を示唆しています。特に、社会的弱者の支援を掲げる団体において、相談者を食い物にするような行為があったことは極めて深刻です。これらの問題が明らかになったことは、組織の信頼性回復と今後の活動に大きな影響を与えることは避けられないでしょう。日本駆け込み寺がこの危機を乗り越え、本来の目的を果たせるのか、その道のりは険しいものとなりそうです。