韓国経済、「失われた20年」前夜と酷似?韓銀が警告する3つの波

韓国経済が1990年代初期のバブル崩壊前後に日本経済が直面した状況と類似している、と韓国銀行(韓銀)が診断しました。当時、日本は資産市場のバブルに端を発する債務の急増、急速な人口高齢化、そして生産構造のグローバル分業化という3つの大きな波が同時に押し寄せている状況でした。現在の韓国もまた、過度な不動産取引による家計債務の膨張、深刻な人口高齢化、そしてグローバル通商秩序の激変という、かつて経験したことのない課題に直面しています。日本は迅速な構造改革を実行できず、「失われた20年」と呼ばれる長期停滞に陥りましたが、韓国は決して同じ過ちを繰り返してはならないという警告です。

類似する債務水準と不動産市場

韓銀の分析によると、韓国の民間(家計および企業)の債務水準は、バブル期の日本と驚くほど似通っています。日本の国内総生産(GDP)に対する民間債務の比率は、1994年に214%と最高値を記録しましたが、韓国もこの比率が2023年には207%にまで急騰しました。製造業のような生産的な分野よりも、非生産的な不動産市場に資金が集中した点も、当時の日本と共通しています。

加速する高齢化と潜在成長力への影響

人口高齢化の進行スピードは、日本よりも韓国の方が速い傾向にあります。日本は生産年齢人口(15〜64歳)が1995年、総人口が2009年にそれぞれピークを迎えましたが、韓国ではそれぞれ2017年と2020年をピークにすでに減少が始まっています。労働投入の減少は、経済の潜在成長率を低下させる主要な要因となります。

変化するグローバル通商秩序への対応

日本はかつて、垂直系列化による高品質な製品輸出で高度経済成長を遂げましたが、1990年代以降の中国を中心としたグローバル分業システムの台頭に対し、消極的な対応に終始した結果、製造業の競争力が弱体化しました。一方、韓国はグローバル分業システムに機敏に対応することで高成長を実現してきましたが、現在では米国の保護貿易主義の高まりや、中国の産業高度化および自給率向上により、これまでの成功戦略が限界に直面しています。

日本の経験から学ぶべき教訓

日本でも当時、経済危機を察知し、構造改革の必要性を訴える声は存在しました。しかし、過去の成功体験への固執や、既得権益を持つ利害関係者からの強い政治的反対によって、改革は実行に移されませんでした。その結果、日本経済は長期的な不況の泥沼にはまり込むことになりました。韓国は日本のこの経験から学び、迅速かつ断固たる構造改革を進める必要があります。

新体制下の韓国経済政策の方向性

去る6日に任命された韓国大統領室の新たな経済担当者らは、成長力の強化と財政の役割拡大、そして安定的な国政運営に重点を置いた人事であると評価されています。特に、経済首席の名称を「経済成長首席」に変更し、新たに財政企画管理官を設置した点が注目を集めています。

韓国大統領室で新経済担当者らが紹介される会見の様子韓国大統領室で新経済担当者らが紹介される会見の様子

今後の課題と展望

新たな経済官僚チームには、貿易、不動産、家計債務といった潜在的なリスクを安定的に管理しつつ、産業競争力の向上に向けた構造改革や新しい成長モデルの構築に注力することが求められます。また、雇用、所得、資産などにおける格差拡大は、経済の不平等や社会不安を招くだけでなく、経済成長そのものにも否定的な影響を与えるという点に留意しなければなりません。成長と分配が好循環する経済体制の基盤を築き上げることが、彼らの重要な任務となります。


参考文献

  • 韓国経済は「失われた20年」前夜の日本と酷似…韓国銀行の警告(ハンギョレ新聞 日本語版)