7月の参院選出馬を改めて表明した山尾志桜里元衆院議員(当時衆院議員)に対し、「週刊文春」が報じてきた問題に関する質問が会見で飛んだ。その中で、山尾氏自身が冒頭で触れたのが「議員パスの不適切使用」疑惑だった。この問題は、2021年5月6日・13日号の「週刊文春」で詳しく報じられていたものだ。
国会議員に付与される「特殊乗車券」、通称「議員パス」は、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律に基づき、全ての国会議員に支給されている。これは、主に選挙区内の移動や公務出張の際に、JR全線(新幹線、特急、指定席を含む)を無料で利用するためのものだ。国民の税金によって賄われているため、その適切な使用が求められている。
「週刊文春」の取材によると、山尾氏は2021年4月3日土曜日、午後2時半頃に三鷹駅で議員パスを使って入場し、吉祥寺駅で出場後、駅ビル内のマッサージ店を利用。その後、再び議員パスで入場し、中央線、山手線を経て恵比寿駅で出場。駅ビルで総菜を購入し、ラーメン店で食事をした後、酒屋に立ち寄り、タクシーで倉持麟太郎弁護士の自宅へ向かったとされる。この記事は、倉持弁護士との関係が過去に報じられた文春の記事に続く内容として掲載された。
山尾氏の議員パスの私的利用は、この日だけでなく、4月10日、4月17日といった週末にも、マッサージや買い物目的で行われていたと報じられている。これは公務とは明確に関係のない個人的な活動であり、「週刊文春」はこれらの行為が議員パスの不適切使用にあたるのではないかと指摘した。
週刊文春の報道について会見で語る山尾志桜里氏
「週刊文春」が4月25日に都内で山尾氏を直撃し、買い物やエステへの移動で議員パスを使用していたか尋ねたところ、山尾氏は「ごめんなさい、全部紙でいただけますか」と回答するのみだった。その後、山尾事務所に改めて質問状を送付したが、「法規にのっとり対応しております」という簡潔な回答に留まった。
政治倫理に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、議員パスの使用は公務出張など職務遂行に資する場合に限られるべきであり、私的な目的に使用すべきではないと指摘している。また、公人として、使用に疑義が生じた際にはきちんと説明責任を果たす必要があると述べた。
議員パスを巡る問題としては、2009年に当時の鴻池祥肇官房副長官が愛人女性との旅行に利用していたことが発覚し、辞任に至った事例がある。このように、議員パスは「議員特権」として国民からの批判が集まりやすい事項であるため、山尾氏には透明性のある説明が求められている。
議員パスの不適切使用疑惑は、国民の税金の使い方や政治家の倫理観に関わる重要な問題であり、今後の山尾氏の説明や対応が注目される。
参考文献:
- 週刊文春 2021年5月6日・13日号
- 週刊文春電子版 (関連報道)