大阪市内の病院に入院していた高齢男性が死亡する直前、喉(のど)からキーホルダー付きの鍵が見つかった問題で、男性の遺族が、鍵を適切に管理することを怠ったとして、病院を運営する医療法人を相手取り、計1650万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴していたことがわかった。提訴は4月3日付。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●喉の痛みをうったえ始めた2日後に鍵が見つかる
亡くなったのは、当時82歳だった大西健一さん。訴状によると、大西さんは2022年1月、骨折の治療のために大阪市内の民間病院に入院した。
その際、認知症と診断されて、おむつを触るなどの行為があったことから、ファスナー付きのつなぎ服を着用させられた。
ファスナーは鍵をかけるタイプで、鍵は大西さんの手が届かない病室の上部にかけて管理されていたという。
大西さんは2022年9月13日夜から喉の痛みをうったえはじめ、翌14日に新型コロナウイルスに感染したことが判明した。
9月15日に胸部レントゲン検査を実施したところ、喉に鍵の影が写っていることがわかり、その日に手術がおこなわれて取り出された。
大西さんは9月22日に亡くなった。死亡診断書には「COVID-19感染症」が直接死因と記載された。
●遺族「鍵の捜索や誤飲してないことを確認する義務を怠った」と主張
鍵にはフラミンゴの形をした金属製キーホルダーが付いており、全長は約12センチに及ぶものだったという。
訴状によると、病院側は、大西さんの鍵を最後に使ったのは9月13日午後6時から午後9時で、翌14日午前3時ごろには鍵がなくなっていることに気づいたという。
こうした経緯から、遺族は「鍵を捜索し、患者が誤飲したりしていないことを確認する義務があったにもかかわらず、これを怠った」と主張している。
また、大きな鍵が喉に引っ掛かり、喉の痛みをうったえている状況で44時間以上も過ごさざるを得なかったことを踏まえ、死亡との関係について「仮に因果関係にCOVID-19による肺炎が介在していたとしても、少なくとも割合的因果関係が認められる」としている。