兵庫県の内部告発文書の週刊誌報道をめぐり、県が容疑者不詳のまま地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで刑事告発したことについて、弁護士53人でつくる自由法曹団県支部が10日、県には告発の取り下げを、県警には捜査の自粛をそれぞれ求める声明を出した。
県支部は「今回の告発は公益通報を萎縮させ、知る権利や報道の自由を実質的に損なわせるものだ」と主張している。
「週刊文春電子版」は昨年8~9月、県が告発者を元西播磨県民局長(故人)だと特定した過程などを報道した。
県が設置した第三者調査委員会は、報道された情報は県の保有情報と同一であると認定し、漏洩(ろうえい)した経路は特定に至らなかったとした。
県は今年5月、県の保有情報を何者かが外部に漏洩したとして、容疑者不詳のまま地方公務員法(守秘義務)違反容疑で県警に告発状を提出。6月に受理されていた。
この日の声明は、県の「告発者捜し」は公益通報者保護法の趣旨に反するとし、週刊文春に提供された情報は県の違法行為に関するもので、報道の自由が保障されるべきだと指摘。斎藤元彦知事は「告発者捜し」が違法だったと認めるべきだとしている。
松山秀樹支部長は取材に「県も県警も、憲法の趣旨にのっとって判断してほしい」と話した。(根本快)
朝日新聞社