兵庫県尼崎市の路上で指定暴力団神戸山口組の古川恵一幹部(59)が射殺された事件で、銃刀法違反容疑などで京都府警に逮捕された男が、事件直前に現場近くの居酒屋で古川幹部と同席し、飲食していたとする目撃情報があることが28日、捜査関係者への取材で分かった。
男は愛知県江南市の朝比奈久徳容疑者(52)。
捜査関係者によると、神戸山口組と対立する指定暴力団山口組傘下組織に所属していたが、山口組が取り扱いを禁じる覚醒剤に手を染めたため、平成30年12月に「破門処分」を受けたとされる。2人は27年8月以降の山口組分裂騒動以前から顔見知りだった可能性があり、朝比奈容疑者側から連絡を取って呼び出した疑いがある。居酒屋は古川幹部の息子が経営しており、事件直前に2人が飲食をともにしていたとの目撃情報もあるという。
事件は27日午後5時5分ごろ、尼崎市内の路上で発生。古川幹部は至近距離から自動小銃で頭や腹などを狙い撃ちされ、即死状態だったとみられる。現場の路上からは実弾の空薬莢(やっきょう)15個程度が押収された。
朝比奈容疑者とみられる男は、銃撃後に現場から車で逃走したが、約1時間後に約40キロ離れた京都市内で京都府警の警察官が、逃走車両とナンバーの下4桁が一致した軽乗用車を発見。1人でいた朝比奈容疑者が拳銃や自動小銃、実弾を所持し、警察官に拳銃を向けたため銃刀法違反などの疑いで現行犯逮捕した。
捜査関係者によると、警察の調べに対し朝比奈容疑者は「全部1人でやった。古川に30発ぐらい撃った」などと供述。さらに「別の神戸山口組系組織を狙い京都に向かった」などと話しているという。
兵庫県警は週内にも、京都府警から朝比奈容疑者の身柄の引き渡しを受け、殺人容疑で再逮捕する方針。