参院選での敗北を受け、自民党内で総裁選の前倒しを求める声が高まっています。石破茂総裁は続投の意向を重ねて示しているものの、党内では「ポスト石破」を巡る動きが活発化しており、特に小泉進次郎農水相が有力候補として注目を集めています。混迷する党の現状と、今後の総裁選の行方に迫ります。
参院選敗北後の自民党総裁選議論の現状
参院選での敗北を受け、自民党は両院議員総会を開催し、今後の党運営について協議しました。総会では石破茂総裁が続投の意向を改めて表明したものの、出席議員からは総裁選の前倒し実施を求める意見が相次ぎました。この結果、総裁選管理委員会での詳細な検討が決定され、ひとまず「18日の週以降」という猶予が生まれた形です。
政治部デスクの見立てでは、総会前には「もし石破氏が退陣をほのめかさなければ、本格的な倒閣運動に発展するだろう」との見方が有力でした。これは、秋の臨時国会で内閣不信任案が提出され可決された場合、石破氏が総辞職ではなく衆議院解散を選択する可能性があり、これを避けたいという党内の強い意向があったためです。一部の議員からは「このままではお盆に地元に帰れない」といった焦りの声も聞かれましたが、総裁選前倒しの検討猶予ができたことで、状況はやや軟化し、地元に戻れる可能性も出てきたようです。
ポスト石破の最有力候補、小泉進次郎氏の強み
参院選前から石破総裁の退陣と総裁選は避けられないと見られており、その中で「ポスト石破」の有力候補として最も注目されているのが小泉進次郎農水相です。参院選の開票結果が出る前から、小泉氏が出馬意向を示唆したとされる動きは、「フライング」と揶揄された高市早苗前経済安保相をリードしていると報じられています。
小泉氏と比較される高市氏については、「自民党が失ったとされる保守層からの票を参政党などから奪回できる」といった指摘もあります。しかし、参政党にはれいわ新選組や社民党、共産党などからも票が流れており、単純に保守層からの票を取り戻すだけでは不十分だという見方もあります。
一方で、小泉氏の最大の強みは、一貫して「無派閥」を貫いてきた点にあります。この姿勢は、自民党が依然として影響を払拭できずにいる「裏金問題」や「派閥政治」といった構造的な問題と距離を置いた人物として、党外だけでなく党内からも強くアピールできる要素となっています。たとえトップが代わったとしても、党の体質改善が図れるのかという異議申し立てはあるものの、現時点において、小泉氏は「ポスト石破」の最有力候補と目されているのです。
まとめ
参院選敗北後、自民党は石破総裁の続投意向と総裁選前倒しの議論という複雑な状況に直面しています。この政局の中心には、次期総裁の座を巡る「ポスト石破」の争いがあり、特に小泉進次郎氏がその最有力候補として注目を集めています。彼の「無派閥」という立場は、裏金問題などで信頼を失った自民党にとって、新たな顔として支持を集める可能性を秘めています。今後、総裁選の具体的な日程や候補者の動向が明らかになるにつれて、自民党の内部の動きはさらに活発化すると予想されます。