東京都議会議員選挙（6月13日告示、22日投開票）が迫る中、昨年の都知事選で旋風を起こした石丸伸二氏率いる地域政党「再生の道」の動向が注目されている。今回の都議選は参院選の前哨戦としても位置づけられ、政治資金問題で逆風を受ける自民党などが議席を争う重要な選挙だ。都議選に多くの候補者を擁立した「再生の道」だが、世論調査では既存政党に比べ支持率の伸び悩みが指摘されている。
積極的な候補者擁立とその戦略
地域政党「再生の道」の石丸伸二氏は、都議選に向け精力的に活動を展開。都内42選挙区のうち35選挙区に42人を擁立する方針で、これは自由民主党と並び最も多い人数だ。石丸氏は候補者の「質」に自信を見せ、1128人の立候補希望者から絞られた100人以上との面接をYouTubeでライブ配信し、関連動画の総再生回数は600万回近くに達した。
石丸伸二氏、「再生の道」を率い都議選に挑む
合格者の多くは政治経験のない金融やIT関係の民間企業勤務者や経営者で、合格者の77%が年収800万円以上、64%が1000万円以上であると石丸氏はアピールしている。多様なバックグラウンドを持つ人材を擁立することで、従来の政治家とは異なる視点を議会にもたらす狙いだ。さらに「十分な人材がそろった」として、都議選に加え、参議院選挙への挑戦も決定。東京選挙区に1人、比例区に9人の擁立方針を示しており、国政への足がかりも築こうとしている。
昨年の都知事選で演説する石丸伸二氏
支持率の伸び悩みと候補者辞退の背景
積極的な候補者擁立の動きとは裏腹に、2025年5月に行われた複数の世論調査では「再生の道」への支持率が伸び悩んでいる現状が浮き彫りになった。日本テレビと読売新聞による東京都の有権者を対象とした調査では、支持率はわずか2%にとどまった。これは自民党18%、国民民主党10%、都民ファーストの会と立憲民主党が共に7%といった既存政党と比べても低い水準だ。
また、選挙ドットコムとJX通信社が全国の18歳以上を対象に行った調査では、「再生の道」に「期待する」と回答した割合は電話調査で18.3%、インターネット調査で14.0%に対し、「期待しない」と回答した割合は電話調査で49.0%、インターネット調査で61.0%と、「期待しない」が「期待する」を大きく上回る結果となった。候補者選考では48人に合格を出したが、短期間での選考スケジュールや家族の反対、SNS上の批判などが影響し、これまでに5人が立候補を辞退している。当初、最大60人の擁立を掲げていた石丸氏であったが、参院選への転戦もあり、都議選の最終的な公認は42人にとどまった経緯がある。
都議選に最多タイの候補者を擁立し存在感を示す「再生の道」だが、現状の世論調査では既存政党に比べ支持率に課題を残す。リーダーの高い意欲と多様な候補者団がこの壁を乗り越え、都議会で議席を獲得できるか。来る都議選における最大の焦点だ。
