2024年人口動態統計:出生数・婚姻数急減、経済力が影響か

先日、2024年の人口動態統計(概数)が公表されました。これは速報値ながら、今後の確定値との大きな乖離は少ない見込みです。各メディアは「出生数過去最少」「出生率1.15」と報じ、日本の少子化の深刻さを伝えています。特に、直近数年間の出生数・婚姻数減少は、過去にない急激なペースで進んでいます。

出生数・婚姻数の「直近の急降下」が顕著に

日本の出生数は、過去20年間で見ると大幅に減少しています。2004年の出生数111万人が2024年(概数)には68.6万人と、約4割減となりました。この減少傾向の中でも、特に2019年以降の落ち込みが際立っています。2004年から2019年までの15年間で2割減だったのに対し、2019年から2024年のわずか6年間で、さらに2割減少という急ブレーキがかかっているのです。これは、直近の落ち込みがいかに急激であるかを示しています。

2019年から2024年にかけての日本の婚姻数と出生数の推移グラフ、急減が確認できる2019年から2024年にかけての日本の婚姻数と出生数の推移グラフ、急減が確認できる

出生数の減少は、統計上、婚姻数の減少と完全にリンクしています。婚姻数が減れば、それに伴い出生数も減少するのは自然な流れです。

経済力と結婚・出産の潮目の変化

長期的な視点で見ると、2004年から2009年頃は、婚姻数に比して出生数の減り幅が大きい時期もありました。これは、結婚しても子どもを持たない、あるいは一人っ子という選択の増加を反映しており、「1.26ショック」として知られる2005年の合計特殊出生率1.26という数値とも関連しています。

しかし、その後は状況が変化しました。婚姻数の減少よりも出生数の減少が比較的緩やかになり、結婚した夫婦は子どもを持つ傾向が強まったかのようにも見えます。より詳細に分析すると、2014年頃を境に、子どもを複数育てられる経済力を持つ若者だけが結婚を選択できるようになった側面が強まったという見方もできます。

この時期から、結婚や出産に対する「意識のインフレ」が進み、結果として中間層の経済力を持つ若者にとって、結婚・子育てが「手の届かないもの」となりつつある――この潮目の変化が、近年の婚姻数・出生数の急減に繋がっている可能性があります。

2024年の人口動態統計概数は、日本の少子化、特に近年の急激な出生数・婚姻数減少の現実を突きつけました。婚姻減が主因であり、その背景には、経済状況が若者の結婚・子育てに大きな影響を与え、特に中間層にとって困難さが増している構造的な課題があると言えるでしょう。

出典:人口動態統計(概数)年報(速報値)