TBS系人気番組『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(金スマ)で長年愛された企画「ひとり農業」がついに終焉を迎えました。約17年にわたり、番組ディレクターの渡辺ヘルムート直道氏が茨城県常陸大宮市に単身移住し、農業未経験ながら荒れ地を開墾し、自らの手で畑を耕していく姿は多くの視聴者の共感を呼びました。企画開始から長い年月を経て、『金スマ』の放送終了に伴い、「ひとり農業」もその歴史に幕を下ろすことになった模様です。現在、かつて豊かな作物が育まれ、賑わいを見せたロケ地の農地は一面雑草に覆われ、挑戦が終わったことを静かに物語っています。
「ひとり農業」の歴史と人気、そして終焉へ
「ひとり農業」企画は2008年にスタートしました。農業の知識も経験もゼロだった渡辺氏が、文字通りたった一人で地方に移住し、荒れ地を一から開墾し、農業を軌道に乗せていく様子は、困難に立ち向かうリアルなドキュメンタリーとして視聴者の心を引きつけました。MCの中居正広氏をはじめとする金スマメンバーも、稲刈りや田植え、農作業の手伝いなどの企画で度々現地を訪れ、プロジェクトを温かくサポートしました。農作物の生育の様子や収穫の喜び、あるいは失敗から学ぶ姿が放送されるたびに、視聴者の間で大きな反響を呼び、番組を代表する人気コーナーへと成長。昨年9月には「ひとり農業に泊まろう!」という企画で歌舞伎俳優の中村獅童さん親子が現地を訪問するなど、その人気は衰えを知りませんでした。
農業以外の活動と番組終了の影響
渡辺氏は番組企画として農業に取り組む傍ら、単なる農作業にとどまらない様々な挑戦も行いました。自ら住むための新居の建築を手がけたり、2014年頃には番組を通じて知り合った女性と結婚し、家族を築いたりもしました。さらに、長年の夢だったという喫茶店を近隣に開業するなど(2019年に台風による水害を受けて閉店)、単なるテレビ企画の枠を超え、地方での本格的な田舎暮らしを実践していました。しかし、番組MCである中居正広氏に関する一連の報道を受けた影響などから、『金スマ』自体が今年3月をもってレギュラー放送を終了するという事態に。これに伴い、長年続いた「ひとり農業」の継続も困難となり、渡辺氏が農業から引退する意向であると、今年2月には「NEWSポストセブン」が報じていました。
ロケ地の現状と関係者の声
その報道から約4か月が経過した現在、取材班がかつて「ひとり農業」の舞台となった常陸大宮市の農地を訪れると、以前ビニールハウスが立ち並び、米やトマト、野菜など様々な作物が丹精込めて育てられていた場所は、一面、人の背丈ほどある雑草に覆われていました。かつての賑わいや、作物が豊かに実っていた頃の面影は既になく、長く続いた企画と挑戦が終わったことを静かに物語っているかのようでした。
常陸大宮市にある金スマ「ひとり農業」ロケ地の現在。雑草が生い茂る耕作放棄地となった農地。
この農地を渡辺氏に貸していた地主の男性は、取材班にこう語りました。「2~3か月前だったかな。渡辺さんが直接挨拶に来ましたよ。『長い間お世話になりました。農地はお返しします』と言ってましたね。まあ、元々農業で生計を立てていたというよりは、農業の形を借りたテレビコンテンツでしたからね。今はあの土地はいわゆる耕作放棄地になっています。残念ですけどね……」。長年にわたり土地を提供し、企画を見守ってきた地主にとっても、その終焉は感慨深いようです。取材班は以前、渡辺氏が現地で小屋を解体したり、角材を運び出したりする様子を目撃しており、やはり農業を完全にやめたことが伺えました。渡辺氏の父親にも現在の状況について尋ねたところ、「息子はあんまり多くは語りたがらないんですよ。でも、農業はやめて今は新しい職を探しているところのようです。親としては、ただ見守るばかりですね」と話しました。テレビを通して、渡辺氏が泥だらけになりながらも農業に向き合う真摯な姿勢に多くの視聴者が元気をもらいました。彼の新たなスタートに、多くの人がエールを送ることでしょう。
長きにわたり人気を集めた『金スマ』の「ひとり農業」企画は、番組終了という形で幕を閉じ、企画の中心人物であった渡辺ヘルムート直道氏も農業から新たな道へ進むことになりました。かつて豊かな作物で満ちていた農地は静かにその役目を終え、現在は次なる活用を待つ状態です。渡辺氏がこれからどのような分野で活躍するのか、多くの視聴者が見守っています。
参照: https://news.yahoo.co.jp/articles/d188e140551143a7236df647566a2bb011c79a9d