国民民主党の榛葉賀津也幹事長は6月11日、7月の参院選比例代表での出馬が内定していた山尾志桜里氏の公認内定を取り消すと発表した。山尾氏は前日の6月10日に出馬会見を開いたばかりだった。
国民民主党の参院選比例代表候補として公認内定を取り消された山尾志桜里氏
候補者擁立の課題と玉木代表の発言
国民民主党は、2024年の衆院選で議席を大きく伸ばした一方、候補者不足により比例代表で3議席を他党に譲る事態となった経緯がある。このため、多数の候補者を擁立することが党にとって喫緊の課題となっている。玉木雄一郎代表は2024年12月のJ-CASTニュースのインタビューに対し、「会った人に息を吐くように声をかけてます(笑)」「そうじゃないとなかなか候補者見つからなくて……」と述べ、候補者探しの苦労と積極的な声かけを行っている一端を明かしていた。
山尾氏は6月10日の出馬会見で、玉木代表から直接出馬を打診されたことを明らかにしていた。玉木代表は同日午前の会見で、山尾氏について「憲法議論をアップデートしてもらいたい」などと期待を寄せていた。
会見での不倫報道と「大炎上」
しかし、午後に山尾氏が行った会見で状況は一変した。会見では、過去の不倫報道に関する説明責任の果たし方が焦点となり、記者からの質問が相次いだ。山尾氏は報道について「この場で新しく言葉を紡ぐことをどうかご容赦いただけたら」と繰り返し、踏み込んだ説明を避けた。この対応に対し、「説明責任を果たしていない」としてSNSなどで強い反発が広がり、「大炎上」と報じられる事態となった。この強い批判的な反応を受け、党は山尾氏の公認内定を取り消す方針転換を迫られた形だ。
「資質の見極め」との整合性
玉木代表は前述のインタビューで、候補者選定について「いわゆる身体検査もやらなきゃいけないし、本人の能力といったものも、これまで以上に厳しく見極めていかないといけないと思っています」とも述べていた。候補者の資質や過去の問題に対する「身体検査」を強化するとしていた玉木代表の発言と、今回の山尾氏を巡る経緯との整合性が問われる形となった。
国民民主党としては、参院選での議席獲得に向けた候補者擁立が急務である一方で、候補者の過去や資質に対する見極めが改めて重要な課題として浮き彫りとなった。
国民民主党による山尾氏の参院選公認内定取り消しは、候補者の過去の行動に対する説明責任の重要性と、選挙に向けた候補者擁立の難しさという、二つの課題を浮き彫りにしたと言える。党にとっては、今後の候補者選定において、資質の見極めとリスク管理が改めて重要な課題となる。