6月9日、5人組アイドルグループ『SUPER EIGHT』のメンバー、横山裕がソロアルバム『ROCK TO YOU』をリリースした。ロックをテーマにした同作には多数のアーティストが参加しているが、その中に同グループを脱退した渋谷すばるの名前があった。かつての仲間とのコラボは一見微笑ましいものに映る一方で、今回タッグを組んだ楽曲が大きな物議を醸している。
衝撃の「逆再生」音声とは
現在の『SUPER EIGHT』は、2004年に『関ジャニ∞』としてCDデビューしたグループだ。渋谷は『関ジャニ∞』のデビュー当時のメンバーだったが、2018年に「海外で音楽を学び、さらに深く自分の音楽を追求したい」との理由でグループを脱退している。脱退後ソロ活動を行っていた渋谷が、今回、共に切磋琢磨した横山とコラボしたことで、ファンの間では期待と感動の声もあがっていた。
物議を醸しているのは、このコラボ楽曲『繋がる』に仕掛けられたある演出だ。怪しげな雰囲気を漂わせるイントロには、かすかに人の声が小さく入っている。耳を澄まさなければ聞き取れないほどの小さな声だが、実はこのイントロ部分を逆再生すると、ある衝撃的な言葉が浮かび上がるのだ。
その言葉とは、「(辞め)させていただく決断をしました」「今日という日が本当に来ないで欲しいという思いで」──。これは、渋谷の脱退を発表した記者会見で語られた、渋谷と横山のコメントの一部だ。前者が渋谷、後者が横山の発言である。
ファンから「嫌悪感」「傷をえぐられた」の声
この「逆再生」の仕掛けが明るみに出ると、X(旧Twitter)などのSNSでは、脱退時の悲しい気持ちを逆撫でするものだとして、ファンからの激しい怒りの声が続出した。
- 「なんでこんなことするん」
- 「流石に嫌すぎる」
- 「史上最強にグロいかもしれん。どこがエモいのか意味不明」
- 「こっちだってこんな気持ちを踏みにじられるような日が来て欲しくなかったわ」
といった、想像を遥かに超える演出に対する困惑や嫌悪感を示す声が多数寄せられている。この批判的な声が届く背景について、ある芸能プロ関係者は次のように指摘する。
なぜファンは怒るのか?脱退の背景と「エモい」演出の危うさ
「渋谷さんは、持ち前の歌唱力の高さから『関ジャニ∞』のメインボーカルとしてグループの中心人物でした。突然の脱退は、『関ジャニ∞』のデビュー15周年イヤーを目前にしたタイミングでもあり、多くのファンが困惑しました。さらに、メンバーから休業という選択肢も提案されたようですが、それも拒否して脱退を選んだといいます。そんな背景を説明した脱退会見にはメンバー全員が参加しましたが、会見中に浮かない顔をする7人を見て、渋谷さんの新たな出発を素直に応援できないファンも数多くいたことも事実です」
SUPER EIGHT横山裕のソロアルバム参加で話題の渋谷すばるとのツーショット
グループの活動に強い影響を及ぼした渋谷の脱退。それから7年が経過し、グループは『SUPER EIGHT』として20周年を盛大に迎えるなど、ファンの傷も少しずつ癒えてきたタイミングでの、今回の楽曲に仕掛けられた演出は、当時の古傷を再び痛ませる結果となったのだ。
過去と現在の「繋がり」への複雑な思い
今回のアルバム発売前の6月7日には、渋谷が自身の公式Xで「ヨコー」と横山に呼びかける投稿をアップしていた。海辺で横山と向かい合って歌う同作のミュージックビデオの一部が、渋谷側だけを切り取る形で投稿されたものだ。
この投稿に対し、二人の「繋がり」に感動する声も届いていた。それだけに、まさか楽曲が脱退時の辛い出来事とも「繋がる」仕掛けになっているとは、誰もが思いもしなかっただろう。「脱退のことを美化するのは、あまりにも軽率だったかもしれません」と前出の芸能プロ関係者は語る。本人たちが意図した「繋がり」とは裏腹に、ファンが受けた当時の悲しみは本人たち以上に深く、今回の演出はそこに触れることになった形だ。
今回の楽曲を巡る一連の反応は、アーティストの表現が、受け手であるファンの持つ過去の感情とどのように向き合うべきか、という問いを投げかけている。