7月の参院選に向けて、各政党の動きが慌ただしくなっている。政治ジャーナリストの清水克彦さんは「国民から見ると石破政権の加点要素はほぼない状態だが、情勢調査では自民党が優勢という結果が出ている」という――。
■トランプ関税と「コメ劇場」で命拾い
「石破さんは強気だ。コメをめぐって『進次郎劇場』(小泉農水相による効果)が絶大だったこと、それと、アメリカのトランプ政権との間で、7月4日の独立記念日頃までには、日米関税交渉がある程度まとまる可能性が出てきたことが大きいかな」
こう語るのは、自民党の中堅衆議院議員である。昨年秋の衆議院選挙で少数与党に転落し、普通なら、3月の今年度予算成立と引き換えに退陣してもおかしくなかった石破政権。それがトランプ関税のおかげで延命し、今は小泉氏人気で参議院選挙後も続投しそうなところまで持ち直している。
そんな中、飛び込んできたのが、消費税減税でもガソリン暫定税率廃止でもなく、国民に現金を一律給付するプランだ。それも、所得制限を設けず、「1人あたり2万円、住民税非課税世帯にはさらに2万円を上乗せ」して給付するというものだ。
■ようやく低空飛行から脱出?
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・小泉農水相が、100万トン程度あるとされる備蓄米の大半を安く放出し、「とにかくコメの価格を下げるぞ」という姿勢を貫く
・ウクライナ戦争やガザ紛争で手詰まり、ハーバード大学いじめや過度な移民排除で批判を浴びるトランプ大統領が、「関税で前進した」ことをアメリカ国民にアピールするために、一番扱いやすい日本に妥協案を示す
・手っ取り早く家計を潤すために、今秋に現金給付する方針を選挙公約に盛り込み、6月22日までの今国会会期中に閣議決定する
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このような条件が揃えば、いつ墜落してもおかしくないほど低空飛行を続けてきた石破政権は、一気に安定飛行に移ると筆者は見る。
筆者は今、複数のルートから入手した「参議院選挙の情勢調査の概要(調査日:2025年5月16〜18日)」のコピーを目にしながら本稿を書いている。
A4用紙で18ページにもおよぶ調査結果は、東京・永田町や霞が関界隈で「自民党による情勢調査」と呼ばれるもので、与野党を問わず、参議院全選挙区の立候補予定者の当落予想が数字で示されたものだ。