国民民主党は6月11日、参院選比例代表での擁立を発表していた山尾志桜里元衆院議員(50)の公認を取り消すことを決定しました。玉木雄一郎代表(56)から出馬要請を受けていた山尾氏は、5月14日の公認発表時には玉木代表とともに街頭にも立っていましたが、会見での説明不足が党内外で波紋を広げ、わずか1ヶ月足らずでの異例の撤回となりました。玉木代表はこの決定について、「正直、有権者や全国の仲間、支援者から十分な理解と信頼が得られないと判断しました」と理由を説明しています。
公認決定からの展開と党内外の批判
国民民主党は5月14日に山尾氏の参院選比例代表での擁立を正式発表しました。しかし、山尾氏は2017年に弁護士の倉持麟太郎氏との不倫疑惑、2021年には議員パスの私的利用などが報じられており、これらの問題に対する明確な説明をいまだ果たしていません。この点をめぐり、山尾氏の擁立に対しては、有権者だけでなく党内からも強い批判が噴出しました。逆風の中で、山尾氏への説明責任を求める声が高まっていました。
会見とその反応
批判の高まりを受け、山尾氏は6月10日に会見を開きました。約2時間半に及んだ会見では、質問は主に不倫疑惑に関する事実関係や、2021年に『週刊文春』で報じられた倉持氏の元妻の自死に関する内容に集中しました。しかし、山尾氏は不倫報道の事実関係を否定した上で、「今、新しく言葉をつむぐことはご容赦をいただきたい」「いろいろな思いの方がいる」などと述べ、具体的な回答を繰り返し避けました。この姿勢は、説明責任を果たしているとは見なされず、さらなる批判を招く結果となりました。
公認取り消し決定とその理由
会見での質疑応答が波紋を呼んだ翌日の6月11日夕方、国民民主党は両院議員総会を開き、山尾氏の公認取り消しを正式に決定しました。玉木代表は決定後、記者団に対し、会見を経ても「有権者や全国の仲間、支援者から十分な理解と信頼が得られないと判断した」ためと説明しました。これは、山尾氏の会見が党が期待したほどの説明責任を果たすに至らなかったことを示唆しています。
玉木代表の「反省」と過去の発言との乖離
誘っておきながら公認を取り消した形となった玉木代表は、6月12日夕方に自身のXアカウントで「山尾さんに対して大変申し訳なく思っております。 本人にお詫びしました」などと長文の投稿を行い、今回の決定について反省の弁を述べました。しかし、玉木代表は反省弁の中で自ら「山尾さんの政策能力を評価して声をかけました」と述べており、山尾氏自身も12日に発表したコメントで、昨年末から玉木代表に国政復帰の打診を受けていたことを明かしています。まさに「三顧の礼」をもって出馬を頼み込んだのは玉木代表自身でした。
玉木雄一郎国民民主党代表と笑顔で写真に収まる山尾志桜里氏。公認決定当初の様子。さらに、国民民主党が毎月発行している会報ビラ『国民民主党PRESS』の5月23日発行の「号外」では、山尾氏を大々的に「公認決定しました」と紹介していました。このビラには、玉木代表の顔写真の横に「結党メンバーの山尾しおりさん。どうしても必要な人材です。」という強い推薦の文言が掲載され、党が募集したボランティアによって6月9日時点で全国に7万5000枚が配布されていたと山尾氏はコメントで述べています。党を挙げて山尾氏の擁立を進めていたことが伺えます。
SNS上の厳しい声
このように、「どうしても必要な人材」とまで訴えて擁立を進めておきながら、世論や党内の批判を受けて会見からわずか1日で公認を取り消すという国民民主党ならびに玉木代表の「手のひら返し」ぶりには、SNS上でも厳しいツッコミが殺到しました。「言葉が軽い」「その割には他人事でしたね」「軽いなー。言葉が」「存在の耐えられない軽さ、って玉木のことを言ってるみたい」など、代表の発言や党の姿勢に対する不信感が表明されています。
一連の経緯は、政治家の過去の問題に対する説明責任のあり方、そして政党の候補者選定プロセスにおける判断基準や、リーダーシップの信頼性について、改めて問いを投げかけるものとなっています。
参考文献:
[Source link] (https://news.yahoo.co.jp/articles/ca3353c336e40368da8a385a2bea8eb17cf8f6b1)