カムチャツカ沖M8.7地震「津波は後から大きくなる」専門家が語る避難の注意点

30日午前、カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.7の巨大地震が発生し、日本でも津波注意報が発表されました。この状況を受け、北海道大学地震火山研究観測センターの高橋浩晃教授が、今回の津波の特性と避難時の重要な注意点について解説しました。太平洋沿岸では、引き続き最大限の警戒が必要です。

津波の特徴と長期的な警戒の必要性

高橋教授は、今回の津波の最大の特徴として「波が長く続くこと、そして第一波よりも後続の波の方が大きくなる傾向がある」点を挙げました。過去の事例として、1952年に今回と同じカムチャツカ沖で発生した地震では、第一波から9~10時間後に最も大きな波が北海道釧路に到達したと指摘。このため、津波注意報が解除された後も、今しばらくは警戒を続ける必要があると強調しました。

注意報発令時の危険性と熱中症対策

「津波注意報であっても危険性は高い」と高橋教授は警鐘を鳴らします。特に夏休み期間中は、海水浴や夜釣りなどで海岸や港の防波堤に近づく人が増えるため、絶対に近づかないよう強く呼びかけました。さらに、避難生活における健康管理についても言及し、「熱中症対策は特に重要だ」と強調。こまめな水分補給を心がけ、避難所では高齢者など体調を崩しやすい人々に対し、周囲が注意深く気を配り、積極的に声かけをするよう促しました。

夜間避難と車中泊のリスク

夜間に津波警報・注意報が発表された場合の避難については、「現在住んでいる自治体が避難を呼びかけている場合は、暗くなってからでも避難を検討してほしい」と高橋教授は述べました。一方で、「自治体から避難指示が出ていない場所については、夜間に無理して避難する必要はない。暗闇の中での避難は非常に危険が伴う」と、状況に応じた冷静な判断の重要性を示しました。また、車中泊での避難を選択するケースが増える中、狭い車内で長時間同じ姿勢でいることで発生する「エコノミー症候群」への注意も促しました。これを防ぐため、定期的な水分摂取と、1時間に1回程度の簡単な運動を推奨しています。

カムチャツカ沖地震後の津波警報発令中に、高台の芝生に多数の車が避難している様子カムチャツカ沖地震後の津波警報発令中に、高台の芝生に多数の車が避難している様子

カムチャツカ地域の地震活動と日本への影響

カムチャツカ地方は、日本と同様に世界的に見ても地震活動が活発な地域として知られています。高橋教授は「今回の地震のような大規模な地震が起こることは珍しいことではない」としつつも、マグニチュード8.8という規模は「東日本大震災に匹敵する、このエリアでは最大級の地震だと思われる」と説明しました。しかし、マグニチュード8クラスの余震が発生する可能性は依然としてあるため、しばらくの間はカムチャツカ付近の地震活動に注意が必要だと見解を示しました。今回の地震が日本に近い場所での地震を誘発する可能性については、「北海道の沖合は震源からかなり離れており、直接的な影響は考えにくい」としました。ただし、「北海道の沖合は今回の地震に限らず、以前からいつ超巨大な地震が起きてもおかしくない切迫した地域だと国が注意喚起している」ため、引き続きの警戒が必要だと解説しました。

今回のカムチャツカ沖地震は、改めて津波への備えと、情報に基づいた冷静な行動の重要性を示しています。特に津波の特性、避難時の熱中症対策や夜間避難のリスク、車中泊の注意点など、専門家の助言を参考に、安全確保に努めることが肝要です。

Source: ABEMA TIMES編集部、北海道大学地震火山研究観測センター 高橋浩晃教授