タワマン「廃墟化」論争に終止符?修繕積立金とマンション資産価値の専門家見解

近年、「タワマン廃墟化」という言葉が一部で注目を集めています。これは、高層マンションが将来的に修繕費用不足により維持困難となり、まるで廃墟のようになるのではないかという懸念を指します。特に、大規模な修繕が必要となる時期に修繕積立金が足りなくなるという点がその根拠として挙げられます。しかし、この説にはどれほどの信憑性があるのでしょうか。本記事では、マンションの資産価値と修繕積立金の問題について、専門家の視点からその実態を解説します。

「タワマン廃墟化」論は誤解?修繕積立金と資産価値の真の関係

タワマン「廃墟化」論争に終止符?修繕積立金とマンション資産価値の専門家見解タワーマンションの維持管理と資産価値

「タワマン廃墟化」の根拠として修繕積立金不足が挙げられますが、これはマンションの資産価値に深刻な影響を与える問題とは言えません。大規模修繕工事は一般的に竣工から築12年、15年周期で計画されます。しかし、この時期に大規模修繕が行われたとしても、それによってマンションの資産価値が変動した事例はほとんど見られません。例えば、築13年や16年の物件が、その1年前より価格が上昇するという現象は実際には存在しないのです。

その主な理由は、次にマンションを購入する人が、大規模修繕の履歴や修繕積立金の不足状況を細かくチェックしないことにあります。この実態を踏まえると、マンションの資産価値を維持向上させたいのであれば、大規模修繕は極力先延ばしにするのが賢明だと言えるでしょう。時期をずらすことで、修繕積立金の不足問題は時間と共に解消される可能性があります。

必要な修繕と不要な修繕:快適な暮らしを守る優先順位

真面目にすべての修繕を行うことが必ずしも資産価値向上に繋がらないのであれば、自分たちの損得を考慮して計画を進めるべきです。もちろん、資産価値を上げられないまでも、建物の劣化が急速に進行するのを食い止めることは必須です。特に、コンクリートのクラッキング(ひび割れ)による腐食、屋上防水の劣化、配管の問題などは、住民の快適な暮らしに直結する喫緊の課題であり、これらには修繕積立金を適切に充てるべきです。

マンションの「廃墟化」や「老朽化リスク」について、部外者が一方的に語るのは余計なお世話に過ぎません。その資金不足を問題視する向きもありますが、この課題はタワーマンションに限定されるものではなく、すべてのマンションに共通する問題です。

タワーマンション特有の問題か?資金調達の選択肢

タワーマンションの修繕費用が、一般的なマンションよりも高額になる傾向があるのは事実です。しかし、タワーマンションに居住している層は、相対的に支払い能力が高いと考えられます。もし手元に現金がない場合でも、物件を担保にしたリバースモーゲージを活用することで、低利での借り入れが可能です。タワーマンションの資産価値は他の物件に比べて頭一つ抜けて高いため、このような資金調達は比較的容易に行えるでしょう。

結論として、「タワマン廃墟化」という言葉はセンセーショナルですが、その根拠とされる修繕積立金不足がマンションの資産価値を直接的に大きく下げるという専門家の見解は限定的です。適切な判断と優先順位付けにより、タワーマンションの資産価値は十分に維持・管理できると言えます。

参考資料