備蓄米の次は輸入「MA米」か?コメ価格高騰への政府の次なる一手

12日午後、農林水産省の小泉進次郎大臣が言及した「MA米」。政府が放出し続ける備蓄米の在庫が少なくなる中で、この見慣れない名前のコメがなぜ注目されているのか、その背景と気になる今後の可能性について探ります。

現状:加工業界も消費者も米不足感を実感

全国味噌工業協同組合連合会の満田盛護会長が大臣室を訪れ、コメ不足の現状を訴えました。「我々コメの加工メーカーも相当量コメを使いますので、やはり不足感、価格の急上昇、大変問題に直面しています。コメ加工メーカーに対する配慮も、ぜひともお願いしたい」と述べ、加工用米の供給不足と価格高騰が深刻であることを伝え、政府への対応を要請しました。

消費者レベルでも、スーパーなどの店頭では備蓄米を求める客が連日殺到し、文字通り飛ぶように売れています。午前中に売り切れる店も多く、「お知らせがきて、朝起きてきました。無くなって残念ですね。残念な気持ちと、どうしよう…という気持ちですね」と、購入できなかった人の落胆の声も聞かれました。こうした随意契約による備蓄米の放出は、10日までに全国36都道府県に広がり、その注目度の高さを物語っています。

備蓄米購入のために並ぶ消費者たち備蓄米購入のために並ぶ消費者たち

政府の対応:追加放出と国内備蓄の現状

政府は、高まるコメ価格と不足感に対応するため、備蓄米の放出を続けています。今週、小泉農水大臣は追加で2021年産の古古古米10万トン、2020年産の古古古古米10万トンの計20万トンの放出を発表しました。大臣は「備蓄米が早く安く消費者の皆さんのお手元に届くように、スピード緩めずに対応していきたい。私たちとしては、これはジャブジャブにしていかなきゃいけない。それじゃなかったら価格は下がらない。その思いでやるんだということで、あらゆる選択肢は持ちながら向かいたい」と述べ、市場への供給量を増やし、価格安定を図る強い意欲を示しました。

しかし、政府が保有する国内産の備蓄米の在庫は、徐々にその「底」が見え始めています。当初およそ90万トンあった政府備蓄米のうち、これまでに一般競争入札で31万トンが放出され、その後、政府が価格を設定する随意契約に切り替えて30万トンの放出が決定。これに今回の追加放出20万トンを加えると、残りは約10万トンとなります。

この約10万トンという残量について、元農水省で現在はキャノングローバル戦略研究所の研究主幹である山下一仁氏は、「小泉大臣は無制限に放出するといっているけど、あと10万トンしかないし、国内のものからすると弾が尽きているので…」と指摘。国内産備蓄米の放出余地が限られている現状を示唆しました。

次なる選択肢?「MA米」とは何か

国内産備蓄米の在庫が少なくなってきた中で、小泉農水大臣が今後の選択肢として言及したのが「MA米」です。大臣は「ミニマムアクセス米」「国が保有するミニマムアクセス米も活用可能」と述べ、必要に応じてこのMA米を活用する可能性を示唆しました。

MA米とは、ミニマムアクセス米(Minimum Access Rice)の略称で、日本がウルグアイ・ラウンド合意に基づき、国内市場への最低限のアクセス機会として、毎年一定量を輸入することを受け入れているコメのことです。主に加工用や飼料用として扱われますが、一部は主食用としても流通します。政府はこのMA米の一部を国家貿易として管理しており、これを備蓄米と同様に市場に供給することで、国内の需給ひっ迫を緩和し、価格高騰を抑える狙いがあると考えられます。国内産備蓄米の在庫が枯渇に近づく中で、輸入であるMA米が供給安定化のための新たな選択肢として浮上しています。

まとめ:価格安定に向けた政府の模索

国内産備蓄米の放出が続き、消費者や加工業界の需要に応える一方で、その在庫が残りわずかとなっている現状があります。こうした状況下で、農林水産大臣が「MA米」の活用に言及したことは、コメの供給安定化と価格抑制に向けた政府の新たな模索の表れと言えるでしょう。国内産備蓄米の「弾切れ」が懸念される中で、輸入MA米が今後の需給や価格にどのような影響を与えるのか、その動向が注目されます。

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