民間シンクタンクのアジア太平洋研究所(APIR)は、2025年大阪・関西万博の開幕からほぼ前半に当たる2025年4月13日から7月末までの来場者による消費額の試算を3939億円と公表しました。これは、2024年1月時点での半年間の開催における推計8913億円を大幅に下回る数字です。しかし、APIRの稲田義久研究統括は、万博が後半に差し掛かると来場者数が増加する傾向があること、そしてミャクミャクグッズなどの売り上げが好調であることから、「消費額が上振れする可能性がある」との見方を示しています。
APIRの試算と調査方法:国内外の来場者消費を分析
この新たな消費額は、APIRが2025年7月に万博会場を訪れた外国人および日本人計約900人を対象に実施したアンケート調査に基づいています。調査では、会場内での買い物代と飲食費、そして会場外での宿泊費と交通費を項目ごとに集計。これにより、来場者の分類に応じた消費単価を算出し、日本国際博覧会協会が公表している来場者数データと掛け合わせることで、全体の消費額を推計しました。
大阪・関西万博会場の賑わいと大屋根リングの景色
来場者別消費単価:外国人が約7割を宿泊費に充当
消費単価の内訳を見ると、外国人の来場者は8万7269円と最も高額でした。これは、3泊4日の旅程を想定しているため、宿泊費が消費単価全体の約7割を占めていることが主な要因です。一方、日本人の消費単価は地域によって異なり、大阪在住者は1万874円、大阪以外の関西在住者は1万3187円、関西以外の在住者は2万5164円でした。
各カテゴリ別消費額と今後の見通し
7月末までの一般の万博来場者数1236万人のうち、外国人は263万人と推計されました。この内訳に基づいて算出された消費額は、外国人が2298.7億円、日本人のうち大阪在住者が417.5億円、大阪以外の関西在住者が366.1億円、関西以外の在住者が784.3億円となっています。さらに、パビリオンのスタッフなど万博関係者(196万人)による消費額は72.5億円と見込まれています。万博期間全体で8913億円とされた前回の推計では、消費単価の計算手法が異なり、国内日帰り客は2万4256円、国内宿泊客は3万4538円、海外客は1万8911円とされ、来場者数は2820万人(うち外国人は350万人)と想定されていました。今回の新たな試算は、現在のデータに基づき、より現実的な経済効果を反映していると言えるでしょう。
まとめ
今回のAPIRによる大阪・関西万博の来場者消費額試算は、当初の予測を下回る結果となりましたが、会期後半の来場者増加や関連グッズの好調な売れ行きにより、最終的な消費額が上振れする可能性も指摘されています。外国人の高い消費単価が経済効果に大きく寄与する一方で、日本人来場者の地域ごとの消費動向も明確になりました。今後の万博の経済的影響については、引き続き動向が注目されます。