人生100年時代の目の健康:「生活習慣病」と捉える医師の提言

人生100年時代において、目の健康維持はますます重要になっています。近年はスマートフォンやパソコンの使用が増え、目の不調を日常的に感じる人も増加傾向です。栃木県で眼科医院を営む山口康三医師のもとには、緑内障、白内障、加齢黄斑変性など、様々な目の病気に悩む患者さんが全国から訪れています。山口医師は治療の一環として、食事や運動、心の持ち方といった生活習慣の改善を通じた根本治療を重視しています。「目の病気生活習慣病」「生活改善で目の病気を根本から治す」という山口医師の提言は、多くの示唆を含んでいます。

人生100年時代、目の健康維持のために重要な定期的な目の検査風景人生100年時代、目の健康維持のために重要な定期的な目の検査風景

山口医師が提唱する「目の綜合医学」

長年の診療経験から、山口医師は目と全身の関係を重視。「目の綜合医学」として、西洋医学と東洋医学の両者の考え方を融合させた新たなアプローチを実践しています。これは、目だけを診るのではなく、体全体を診て体質改善を目指すものです。急性疾患では目薬やレーザー治療、手術といった局所的な治療が有効なこともありますが、慢性の目の病気においては、体質を変えることこそが病気改善への近道となる場合が多いと述べています。治療には漢方薬も用い、必要に応じて西洋医学的治療も組み合わせます。この「目の綜合医学」では、医師任せではなく、患者自身が日々の生活習慣改善に積極的に参加すること(患者さん参加型の医療)が非常に大切であると強調されています。

生活習慣の偏りが目の病気を招く

緑内障になった人に生活習慣を詳細に聞くと、食べすぎ、甘いもの好き、夜更かし、ストレスといった偏りが見られることが多くあります。さらに、慢性的な便秘肩こり首のこりを抱える人も少なくありません。これらの生活習慣の偏りは、血流障害を引き起こしたり、腸の働きを低下させたりすることで体調が悪くなり、それが目に影響して緑内障へと繋がると山口医師は考えます。この関連性は、白内障黄斑変性など、ほかの目の病気にも共通して言えることです。

全身の健康なくして目の健康なし

山口医師は、「目の健康度は、体の健康度を超えることはない」と断言します。全身が不健康な状態を放置したまま、薬や手術といった目の局所的な治療だけで目の病気を改善しようとしても、それは症状を一時的に抑える対症療法にとどまってしまいます。慢性的な目の病気を根本から改善するためには、全身の健康状態、すなわち食生活、運動習慣、ストレス管理といった日々の生活習慣全体を見直すことが不可欠なのです。

まとめ

人生100年時代における目の健康は、単に目だけをケアするのではなく、全身の健康状態と深く関わっています。山口康三医師の提唱する「目の綜合医学」は、この全身との繋がりを重視し、患者自身が生活習慣改善に取り組むことで、慢性的な目の病気の根本からの改善を目指す画期的なアプローチと言えるでしょう。目の不安を感じている方は、日々の生活習慣を見直すことが、健康な目を長く保つための第一歩となるかもしれません。