急成長する精神科訪問看護「メイクケア」 情報発信で社会貢献へ

大阪市に拠点を置く精神科専門の訪問看護事業「Make Care(メイクケア)」が、近年、利用者数を著しく伸ばしている。精神疾患を抱える多くの人々が、自身が公的医療保険を利用して訪問看護を受けられることを知らない現実がある中、同社は積極的な情報発信を通じて認知度向上に努めている。「回復をゴールにせず、社会で活躍できる人が増えること」を目指す彼らの取り組みは、社会保障費の削減にも繋がるとして注目されている。

異例の成長率を見せる精神科訪問看護

Make Careは、看護師である中野誠子社長が2022年に3人の仲間と共に立ち上げた。訪問看護ステーション「くるみ」として、これまでに大阪市内外の幅広い年齢層、約250人に対しサービスを提供。2024年の売上は前年比2.5倍となり、小規模ながら業界内で異例の成長率を達成している。

患者と家族に寄り添う独自の訪問看護

訪問看護は、精神疾患のある方が自宅などで、看護師が30分~1時間程度滞在しケアを行うサービス。心身両面のケアから日常生活支援まで幅広く対応し、自宅というリラックスした環境で患者と向き合え、家族もサポートできるのが特長だ。多くの患者や家族が就業しているため、一般的な午後5時頃までに対し、午後8時まで対応。データに基づく看護や地域連携も強みで、利用者から好評を得ている。

Make Careの中野誠子社長(左)が精神科訪問看護の現場で患者を支援する様子(大阪市)Make Careの中野誠子社長(左)が精神科訪問看護の現場で患者を支援する様子(大阪市)

変化する業界とメイクケアの挑戦

厚生労働省によると、2023年の精神疾患患者数は603万人に増加。訪問看護ステーションも増える一方、集客・人材確保に苦戦し閉所も多い。Make Careは創業時からの経営理念と持続可能な基盤確立を志向。マーケティング知識豊富なCEO主導でSNS活用し、認知度・透明性を高める。精神科訪問看護の情報やスタッフ日常を発信、潜在利用者や看護師に訴求。今年4月からはLINE無料相談も開始。

精神科訪問看護専門Make Careを率いる中野誠子社長(大阪市)精神科訪問看護専門Make Careを率いる中野誠子社長(大阪市)

人材育成と未来への展望

情報発信は採用にも貢献。創業3名が約30名に増加。重症心身障害児・医療的ケア児対応の人材も在籍し、受け入れ拡大。働き方改革や研修も充実させ、質・量ともに「大阪一」を目指す。中野社長は「困っている人が早い段階でSOSを出せる環境を整えたい」と語る。

まとめ

精神科訪問看護という専門領域において、Make Careはその革新的なアプローチと積極的な情報発信により、利用者数と事業規模を急速に拡大させている。精神疾患を持つ人々が社会で活躍できる未来を目指す彼らの取り組みは、医療サービス提供の新たな可能性を示唆すると同時に、社会全体への貢献へと繋がっていくことが期待される。

出典: 共同通信