天神祭催涙スプレー事件、上松尊良容疑者を逮捕:複数被害と逃走、SNSが明かす実態

大阪で約1000年の歴史を誇り、日本三大祭りの一つに数えられる「天神祭」。多くの人々で賑わう祭りの会場近くで、卑劣な傷害事件が発生しました。2023年10月2日、大阪市内の公園で20代の男性に催涙スプレーを噴射し、負傷させたとして、住所不定・無職の上松尊良容疑者(20)が傷害の容疑で逮捕されました。この事件は、祭り終盤の賑わいの中で発生し、多くの見物客にも影響を及ぼしたことで、社会に大きな波紋を広げています。

大阪・天神祭近くで発生した卑劣な事件

事件が発生したのは、2023年7月25日午後10時頃、大阪市都島区の毛馬桜之宮公園でした。これは、天神祭の花火大会の打ち上げ会場に近く、人気の観覧スポットでもあります。上松容疑者は被害者の男性に対し、突然「お前、ケンカしようや」と因縁をつけました。被害男性は格闘家として活動し、インターネット配信の格闘技大会に出場経験もある人物です。見知らぬ男に喧嘩を売られたことに憤慨し、男性が謝罪を要求したところ、上松容疑者はクマよけ用の催涙スプレーを顔面に噴射。男性がひるんだ隙に、上松容疑者は上半身裸で現場から逃走しました。

催涙スプレー事件で全国指名手配され逮捕された上松尊良容疑者のSNSからの写真催涙スプレー事件で全国指名手配され逮捕された上松尊良容疑者のSNSからの写真

事件が起きたのは花火が打ち終わってから約1時間後で、会場周辺にはまだ多くの見物客が残っていました。催涙スプレーの成分が拡散したため、現場では十数人が目の痛みを訴える事態に。中には過呼吸を起こし、担架に乗せられて救急搬送された女性もいたと報じられています。この緊急事態に、救急車や消防車がサイレンを鳴らしながら次々と駆け付け、現場は一時大混乱に陥りました。大阪府警は上松容疑者を指名手配し、行方を追っていました。

事件前日にも同様の行為:繰り返された暴力と沈黙

驚くべきことに、上松容疑者は事件前日にも同公園内で、通行人の男性に「お前、強いんか?けんかしようや」と因縁をつけ、催涙スプレーを噴射していました。度重なる暴力行為が明らかになったことで、その反社会的な性格が浮き彫りになっています。逮捕後の警察の調べに対し、上松容疑者は「何もしゃべりません」と黙秘を続け、供述調書の作成にも応じていないと報じられています。自らの行為に対する責任を回避しようとする姿勢が伺えます。

SNS投稿と「クリーン・ミナミ・ポリス」による逮捕

上松容疑者の逮捕には、SNSの情報と警察の地道な捜査が大きく貢献しました。上松容疑者は以前、大阪・ミナミの路上で特別警察隊「クリーン・ミナミ・ポリス」から職務質問を受けたことがあり、隊員たちの間では顔が知られていました。上松容疑者が普段から自身の行動をSNSに投稿していたことから、隊員がその動向をチェック。心斎橋の焼き肉店で食事をしていることを突き止め、隊員が急行して身柄を確保しました。

逮捕時の衝撃動画:挑発的な言動と反省の欠如

上松容疑者は、自身を取り囲む隊員たちとのやり取りをスマートフォンで撮影し、その動画をSNSにアップしていました。動画には、「俺、出頭行く言うたのにな、お前らな。何の件、何の件か言うて。都島の件?何したん、俺?何でお前らミナミが現逮するん?指名手配?かかってないよ。俺、自分で都島(署)に行くって言うたのに。しょんべんだけ行かせて」という、隊員たちを挑発し、まるで反省の色が見えない音声が記録されています。その後も上松容疑者は動画を撮り続けようとしましたが、パトカーに乗車した後、隊員によって制止されました。この動画は、容疑者が自らの犯した罪の重大性や、それによってどれだけの人々に危害や迷惑をかけたのかを全く理解していないかのような態度を示しており、社会的な批判を呼んでいます。

今回の事件は、日本の伝統的な祭りの最中に起きた無差別な暴力行為であり、社会の安全に対する脅威を改めて浮き彫りにしました。容疑者の供述拒否と挑発的な態度は、被害者や社会に対する侮辱とも受け取られかねません。警察当局は事件の全容解明に向け、引き続き捜査を進める方針です。


参考文献: