保育園 運動会でお揃いTシャツから我が子だけ「仲間外れ」と親が提訴 卒対の行動に問題視

東京都墨田区の保育園で、保護者組織「卒園対策委員会(卒対)」が企画したお揃いTシャツからある園児が外されるトラブルが発生しました。父親のAさんはこれを「卑劣な差別行為」「明白な仲間外れ」と訴え、運動会での出来事を受け、卒対主催者を相手取り損害賠償を求める民事裁判を起こしました。

運動会で我が子だけ違うTシャツ

心待ちにしていた運動会当日、体育館に到着したAさんは光景に愕然としました。我が子を除く全ての園児がお揃いのデザインが施されたアイロンプリント付きTシャツを着用していたのです。「明白な『仲間外れ』でした」と語るAさん。これを目にした子どもは泣き崩れ、楽しみにしていた運動会はつらい記憶に。その後、子どもは専門医から「急性ストレス反応」や「適応障害」と診断されました。

運動会でお揃いのTシャツを着ている園児たちの中で、一人だけ違う服装の園児が立ち尽くしている様子運動会でお揃いのTシャツを着ている園児たちの中で、一人だけ違う服装の園児が立ち尽くしている様子

保護者組織「卒対」への批判

卒対は、PTAに似た位置付けで運営される「父母の会」の一部組織です。今回の企画は保育園の公式プログラムではなく、卒対が独自に計画したもの。そのため、卒対に参加していないAさん家族には事前の連絡がありませんでした。Aさんは「卒対の行為は『独善』と『横暴』以外の何ものでもない」「誰もが平等であるべき保育園という場を彼らは自己満足のためだけに汚した」と強く批判しています。保護者組織の閉鎖性と公式性を欠く活動のあり方に問題提起をしています。

保護者会や卒対の会議のような場面で、話し合いが難航しているイメージ保護者会や卒対の会議のような場面で、話し合いが難航しているイメージ

卒対代表者の反応と理不尽さ

運動会後、Aさんが卒対代表者に説明を求めると、「差別行為はなく問題ないと考えている」「今後のイベントでも同様のことをおこなう」「人権侵害をしているのは、むしろ卒対に入らないあなた方だ」といった発言が飛び出したといいます。Aさんは「一部の保護者のためだけの閉鎖的な組織に過ぎない卒対が、なぜここまで保育園全体を巻き込む権限を持てるのでしょうか」と、その理不尽さと組織のあり方に疑問を訴えています。

この一件は、保育園や学校における保護者組織の活動が、時に意図せずとも子どもや保護者に深い傷を与える可能性があることを示唆しています。Aさんは、一部の保護者のための閉鎖的な組織に過ぎない卒対が、なぜ保育園全体に影響力を持てるのかとその理不尽さを改めて訴えています。民事裁判の行方に注目が集まります。

Source: Yahoo!ニュース(弁護士ドットコムニュース)