都議選・杉並区:裏金問題、国民民主、石丸新党…混戦模様の激戦区を徹底解説

2025年6月22日に投開票される東京都議会議員選挙は、今後の国政の行方を占う上で「参院選の前哨戦」とも位置づけられています。この都議選で自民党が大きく議席を減らすような結果になれば、その後の参院選での大敗につながる可能性も指摘されています。こうした政局の未来を占う上で、特に注目すべき選挙区の一つが杉並区です。多くの主要政党に加え、政治とカネの問題を抱える現職候補、そして話題の新興勢力など、多数の候補者が入り乱れ、まさに「激戦区」の様相を呈しています。本記事では、この東京都議会議員選挙 杉並区選挙区の情勢と見どころを深掘り解説します。

杉並区:激戦の様相と「政治とカネ」問題

杉並区選挙区は、定数「6」に対し、「17」もの候補者が立候補を表明しており、都内でも有数の激戦区となっています。前回の都議選で6番目の当選を果たした自民党の現職、早坂よしひろ氏はこの状況について「これだけ多くの人が立候補しているのは、私の席を狙っているんじゃないでしょうか」と語っており、現職としての危機感を滲ませています。

2025年東京都議会議員選挙、激戦が予想される杉並区の情勢を示す写真2025年東京都議会議員選挙、激戦が予想される杉並区の情勢を示す写真

早坂氏は政治資金収支報告書への不記載問題(214万円)を抱えていますが、今回、自民党の公認を得て選挙戦に臨んでいます。一方で、同じ自民党の小宮あんり氏(前回3位当選)は、こちらも不記載問題(250万円)の影響などもあり、公認が得られず無所属での出馬となりました。これにより、自民党への逆風は早坂氏に集中する形となっています。早坂氏は有権者からの指摘について「たまーにね」と述べ、有権者の関心はそれほど高くないと捉えている様子です。

定数6に対し17人が立候補を表明している東京都議選杉並区選挙区の状況定数6に対し17人が立候補を表明している東京都議選杉並区選挙区の状況

各党の動向と新興勢力の挑戦

現職への対抗馬として注目されるのが、国民民主党公認の国崎たかし氏です。国崎氏は元自民党の杉並区議会議員でしたが、今回は党を移り国民民主党からの挑戦となります。昨年の総選挙以降、国民民主党には強い追い風が吹いていることから、国崎氏が票を大きく伸ばす可能性があります。

れいわ新選組からは新人の海保とくま氏が出馬します。前回の都議選では同党の山名かなこ氏が9位と惜敗しましたが、その後2023年の杉並区議選で3位当選を果たすなど、れいわの地域での活動は活発化しており、政党支持率も上昇傾向にあることから、杉並区はさらに混戦の様相を呈しています。

また、昨年の都知事選で次点となり大きな話題を呼んだ石丸伸二氏率いる「再生の道」からは、杉並区で3人の候補者が出馬しています。石丸氏の勢いを背景に、彼らが議席を獲得できるかが注目されます。再生の道の候補者の一人、小澄けんしろう氏に話を聞くと、「再生の道は党議拘束がないのが魅力。自分自身は無所属に近い気持ちでやっています。ほかの候補者と票を食い合うことはあまり気にしていません」と話していました。

しかし、ある選挙関係者は、杉並区における再生の道の候補者の活動状況について、党からの手伝いがほとんど見られず、本人の家族が選挙活動を支えている様子から「再生の道はこの都議選で本気で議席を取るつもりがあるのかな?」と疑問を呈しています。石丸氏自身も自身のYouTubeチャンネルで「目標ラインはありません」「ゼロでも勝ちです」「新しい地域政党をつくるっていう話題が起きただけで僕の目的を達成しているんで」と発言しており、これが本音だとすれば、頑張って選挙に出た候補者たちが気の毒になるという厳しい声もあります。

生活者ネットワークからは元職の小松久子氏が出馬。地域に深く根を張った活動を展開しており、前回は惜しくも落選しましたが、今回も活発な動きを見せています。無所属では、社民党が推薦する金まさのり氏が独特の存在感を放っています。金氏は在日コリアン3世で、68歳で日本国籍を取得し、69歳で初めて投票、そして70歳となる今年、被選挙権を行使して都議選に出馬するという異色の経歴を持ち、弁護士の宇都宮健児氏らが応援しているのも特徴です。

6議席の行方:最後まで読めない激戦区

共産党の現職、原田あきら氏は今回の選挙について「今回はまったく読めません」と強い危機感を表明しています。自民党の「政治とカネ」問題への逆風、国民民主の追い風、れいわの支持率上昇、石丸新党の未知数な影響力、地域に根差した生活者ネットワーク、そして個性的な経歴を持つ無所属候補など、多くの要素が複雑に絡み合っており、杉並区の定数6を巡る争いは本当に最後まで予測不能な大混戦となるでしょう。この結果は、東京都政の今後だけでなく、次期衆院選や参院選など国政の動向にも少なからず影響を与える可能性があり、その行方が大いに注目されます。

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