インド西部アーメダバード発イギリス・ロンドン行きのエア・インディア機が住宅地に墜落した事故で、現場から270人を超える遺体が収容されたことが明らかになった。現地の医師らが14日に公表した。この事故を受け、15日にはインドとイギリスの各地で犠牲者を悼む集会が開かれた。
バイラムジー・ジージーボイ医科大学の研修医組織トップ、ダヴァル・ガメティ医師によると、同大学の病院が270人の遺体を受け入れた。これらのうち241人は、墜落したAI171便の乗客または乗員とみられている。犠牲者の身元については、親族が提供したDNA検体との照合が進められており、これまでに30人以上の身元が正式に確認された。
事故は12日に発生。ボーイング787-8型機ドリームライナーは、アーメダバードのサルダール・ヴァッラブバーイー・パテール国際空港を離陸からわずか60秒足らずで高度を失い、バイラムジー・ジージーボイ医科大学および市民病院の医師用居住施設に激突した。乗客乗員242人のうち、イギリス人男性1人(40代)を除く全員が死亡。地上での犠牲者数はまだ確定しておらず、当局が確認を急いでいる。身元特定作業はDNA照合を伴うため、時間を要している。
事故原因と調査の進捗
事故原因の究明は、インド航空機事故調査局(AAIB)が進めており、アメリカとイギリスの調査チームが協力している。飛行データなどを記録したブラックボックスは13日に墜落現場で発見されており、インドのラーム・モハン・ナイドゥ・キンジャラプ民間航空相は、これが「調査に大きく役立つ」との見通しを示している。
インドとイギリスでの追悼集会
事故の犠牲者を悼む集会が、15日にインドとイギリスの各地で開催された。ロンドンのインド高等弁務官事務所前には100人近くが集まり、ろうそくを灯して犠牲者を偲んだ。イギリスでの集会に参加した地域リーダーは、家族の安否確認のためにインドへ向かい、病院でDNA照合の結果を待つ人々との連絡を取り合っていると述べた。参加者の多くが、事故が「どのように、なぜ起きたのか」の答えを求めている状況が報告された。
エア・インディア機墜落事故の犠牲者を追悼し、ろうそくを灯す参加者たち(インド・英各地での集会より)
機体情報と追加安全措置
航空機の運航状況を追跡するフライトレーダー24によると、事故機は製造から11年が経過しており、過去2年間でアーメダバードとロンドン・ガトウィック空港間の路線を25回運航していた。インド航空規制当局の民間航空総局(DGCA)は、エア・インディアに対し、ボーイング787-8型機および787-9型機の追加安全点検を実施するよう命令した。これは「予防措置」として説明されている。
当局者・関係者の対応
インドのナレンドラ・モディ首相は13日、墜落現場周辺を約20分間視察した後、病院を訪問し、唯一の生存者であるヴィシュワシュクマル・ラメシュさんら負傷者と面会した。「全国民が一刻も早い回復を祈っている」と述べた。同日、エア・インディアのキャンベル・ウィルソン最高経営責任者(CEO)も墜落現場を訪れ、後に「心がとても動かされた」と語っている。
今後の見通し
現在も、犠牲者の身元確認作業は続けられており、全ての遺族への情報提供とサポートが急務となっている。事故原因に関する詳細な調査結果の公表が待たれており、航空業界における今後の安全対策にも影響を与える可能性がある。
参照元: BBC News