NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は16日、第56話が放送された。漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く本作は、中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目となる。
第56話では、柳井嵩(北村匠海)が絵の才能を見込まれ、宣撫(せんぶ)班勤務を命じられる。紙芝居を行っていた市場で騒動があったといい、宣撫班には緊張感が漂っていた。数日後、辛島健太郎(高橋文哉)も宣撫班に加わる。2人は地元民から反感を買わない紙芝居を作る任務を与えられ、早速、内容を考え始めた。
舞台は1944年(昭和19年)9月、小倉連隊が到着した中国・福建省の奥地。田川岩男(濱尾ノリタカ)は地元の少年リン・シュエリャン(渋谷そらじ)に懐かれていた。その中で岩男は、自身が入隊前に結婚しており、息子も誕生したことを明かす。「自分が入隊してから生まれたので、まだ会うてませんが、男の子であります」と語る岩男と少年は相撲を取り楽しむ。柳井清(二宮和也)の手帳には「東亜の存立と日支友好は双生の関係である」との記述があり、これに触発された嵩は紙芝居のアイデア「双子の島」を思いつく。
SNS上では、田川岩男の突然の家族に関する告白に多くの視聴者が反応した。「岩男くん、結婚していたのね。おめでとう!絶対、生きて帰らんと」「あの岩男が優しい父親の顔になるとは」など、祝福や変化への驚きの声が上がった一方で、「今週は覚悟している。岩男が結婚して、お父さん。もう胸が痛い」「岩男くんの改心は伏線だと思う」「嫌な予感しかしない」といった、今後の展開を不安視し、「死亡フラグではないか」と動揺する投稿が相次いだ。「唐突に再会して、『あさイチ』に出演して、めっちゃ良い奴になって、嵩にまで気づかれている岩男。何このフラグ、やめてくれよ」とのコメントも見られ、岩男のキャラクター変化と状況が視聴者の間で大きな憶測を呼んでいる。
連続テレビ小説「あんぱん」第56話で田川岩男(濱尾ノリタカ)が中国の少年と相撲を取り、入隊前に結婚し息子が誕生したことを語る
第56話は、柳井嵩と辛島健太郎の新たな任務が描かれる一方で、田川岩男の個人的な状況が明かされ、戦時下における兵士たちの人間的な側面と、それが視聴者に与える影響が色濃く示された回となった。特に岩男の告白は、その後の物語展開に対する不穏な予感を強く抱かせ、多くの視聴者の心に深く残ったようだ。