赤沢経済再生相は13日午後(日本時間14日午前)、米国のトランプ政権による関税措置を巡る日米貿易協議のため米ワシントンを訪問し、6回目の閣僚級協議を行った。協議後、赤沢氏は記者団に対し、「非常に突っ込んだやり取りを行い、合意の可能性を探った」と述べ、閣僚レベルでの進展があったことを示唆した。
閣僚級協議は今回で4週連続となり、集中的な交渉が行われている。赤沢氏は、まずラトニック商務長官と約70分間、次いでムニューシン財務長官と約45分間、それぞれ個別に会談を持った。両国間の懸案事項について詳細な議論が交わされた模様だ。
第6回日米貿易閣僚級協議の終了後、米ワシントンで取材に応じ、合意の可能性に言及する赤沢経済再生相
赤沢氏は、15日からカナダで開催される先進7か国首脳会議(G7サミット)に合わせて行われる日米首脳会談での最終的な合意の可能性について問われたが、「予断を持って申し上げることは控える」と述べ、明言を避けた。また、日本側がこれまで繰り返し撤廃を求めてきた自動車や鉄鋼・アルミニウム製品への関税、そして「相互関税」に関する今回の交渉での具体的な要求内容についても、言及を控える姿勢を見せた。これは、首脳会談での政治判断に委ねる部分が大きいことを示唆している可能性がある。
これまでの閣僚級協議において、日本政府は米国が関心を示す農産品の輸入拡大や、日本における自動車の「非関税障壁」の見直しなどを提案してきた。加えて、経済安全保障の観点から重要性が高まっているレアアース(希土類)や半導体の安定的な供給網強化に向けた日米連携策についても検討を進めている。これらの提案は、米国側の懸念に対応しつつ、両国の経済関係を強化するための包括的なアプローチの一環と言える。
一方、石破首相は13日夜にトランプ米大統領と約20分間電話会談を行い、G7サミットの機会を利用して個別に対面での会談を行うことで一致した。今回の閣僚級協議での議論を踏まえ、この首脳会談で貿易問題を含む両国間の主要な議題について合意が得られるかどうかが今後の最大の焦点となる。石破首相は当初、閣僚級協議で大きな進展が見られればG7前に米国に立ち寄り、トランプ大統領と直接交渉して合意を目指すことも検討していたが、最終的に訪米は見送られた経緯がある。
日米間の貿易摩擦は、両国経済および世界経済にも影響を与える重要な課題であり、G7サミットの場での首脳間の最終的な調整に注目が集まっている。閣僚レベルで模索された合意への道筋を、首脳がいかに政治的に決着させるかが問われる局面だ。