英国のチャールズ3世(76)国王の「公式誕生日」を祝う伝統的なパレード「トゥルーピング・ザ・カラー」が6月14日(現地時間)、ロンドンのバッキンガム宮殿やホースガーズパレードなどで開催されました。がんと闘病中のチャールズ国王と、がんの治療を終え公務に復帰したキャサリン皇太子妃が共に公の場に姿を見せ、世界中の注目を集めました。
国王と皇太子妃、公の場での姿
チャールズ国王は制服姿でカミラ王妃と共に馬車に乗り、近衛隊を査閲しながらパレード会場に入場しました。国王は昨年、がん治療中であったため馬車とバッキンガム宮殿のバルコニーからのみ行進を見守っていましたが、今年はより多くの式典に参加する姿が見られました。
キャサリン皇太子妃は、青いスーツに同色のつば広の帽子をまとって登場。チャールズ国王夫妻と共に壇上から軍事行進を見守りました。皇太子妃は昨年9月にがんの治療を開始し、今年3月にその事実を公表しましたが、この日約半年ぶりに公の場に姿を見せたことは大きなニュースとなりました。集まった群衆に対し、笑顔で手を振る晴れやかな様子が印象的でした。
王室家族の参加と注目の瞬間
パレードには主要な王室メンバーが総出動しました。国王の長男であるウィリアム皇太子をはじめ、エドワード王子、アン王女は騎乗してパレードに参加しました。
ウィリアム皇太子夫妻の3人の子供たち、ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子は、キャサリン皇太子妃と同じ馬車に乗って入場しました。特に末っ子のルイ王子は、馬車に乗っている間、目を閉じたり笑顔を見せたりと、その愛らしい無邪気な振る舞いが多くの人々の視線を集めました。一方、米国に在住するヘンリー王子の家族は、昨年に続き今年も参加しませんでした。
式典の規模とハイライト
今年のパレードには英国全域から1350人の将兵が参加し、壮大な行進を披露しました。バッキンガム宮殿前の通りには、この歴史的な式典を一目見ようと、早朝から多くの人々が集まりました。式典のクライマックスは、王室家族がバッキンガム宮殿のバルコニーに姿を現し、上空を通過する空軍の曲芸飛行「フライパス」を見守る瞬間でした。
チャールズ国王とキャサリン皇太子妃、バッキンガム宮殿のバルコニーに立つ英国王室のメンバー 公式誕生日パレード
事故犠牲者への追悼
同日のパレードでは、最近発生したエア・インディア旅客機墜落事故の犠牲者を追悼するため、1分間の黙祷が捧げられました。チャールズ国王と王室メンバーは、追悼の意を示す黒い帯を腕に巻いて式典に臨みました。この事故は6月12日に発生し、英国に向かっていた旅客機がインドで墜落、英国人52人を含む242人が犠牲となっています。
「公式誕生日」パレードの由来
「トゥルーピング・ザ・カラー」は、1760年から毎年欠かさず開催されている英国国王の誕生日を祝う伝統的な軍事パレードです。チャールズ国王の実際の誕生日は11月ですが、公式な祝賀行事は天候が比較的安定している6月に行われるのが慣例となっています。
国王誕生日記念叙勲
今年の国王誕生日を記念した叙勲者リストも発表されました。サッカー界のスター、デビッド・ベッカム氏、オスカー俳優のゲイリー・オールドマン氏、人気ロックバンド「ザ・フー」のロジャー・ダルトリー氏らが新たに騎士爵位を授与され、男性には「卿(サー)」の尊称が与えられます。また、歌手のエレイン・ペイジ氏、ブッカー賞受賞作家のパット・バーカー氏、ペニー・モーダント元保守党下院院内代表ら女性にも「女爵士(デイム)」の尊称が贈られました。
がん治療という困難を経て公務復帰の途にあるチャールズ国王と、治療を終え元気な姿を見せたキャサリン皇太子妃が揃って臨んだ今年の「トゥルーピング・ザ・カラー」は、英国王室とその支持者にとって、希望と新たな一歩を感じさせる特別な一日となりました。
参考情報:ロイター、聯合ニュース