五月書房新社が深田萌絵氏の書籍発売中止を発表、著者の「虚偽情報」を否定

老舗出版社の五月書房新社は16日、来たる6月29日に発売を予定していた書籍について、著者の深田萌絵氏本人による一連の虚偽情報の発信と拡散が確認されたとして、当該書籍の発売中止を決定したと発表しました。この決定は、特に政治・社会分野での情報発信に関心を持つ読者にとって重要なニュースとなります。

五月書房新社公式Xアカウントの投稿スクリーンショット、深田萌絵氏の書籍発売中止に関する発表文面五月書房新社公式Xアカウントの投稿スクリーンショット、深田萌絵氏の書籍発売中止に関する発表文面

発売中止となったのは、起業家としても知られる深田萌絵氏が、かつて中国で台頭したとされる「浙江財閥」を題材にした著書です。深田氏は自身のX(旧ツイッター)アカウント上で、「Amazonで販売開始された『ビッグプロット』は五月書房によって内容を改ざんされた『偽物』です。買わないでください!」などと強く訴えており、今回の発売中止はこの深田氏の発言を受けたものとみられます。

出版社側の詳細な反論

五月書房新社は、深田氏の主張に対し、具体的な証拠に基づき明確に反論しています。同社は、出版に向けた協議から原稿提出、編集上のやり取り、内容調整、構成修正といった編集実務が、著者自身の確認と同意のもと、著者とのメール等の記録に明確に残されていると説明。一方的な改ざんではないことを強調しました。

また、同社は独立した日本国内の出版社であり、制作過程において中国共産党やその関係者が関与する余地は一切なく、外部からの思想的・政治的介入は完全に存在しないと強調し、この点も関係資料で客観的に証明可能だとしています。

著者の具体的な虚偽情報とその否定

出版社は、深田氏がSNS等で発信している以下の内容は、いずれも根拠のない虚偽情報であると指摘しています。

主張1:「当社が中国共産党の工作機関である」「原稿が一方的に改ざんされた」「売上が中国へ流れている」

出版社はこれに対し、編集過程の合意内容と履歴により「改ざん」が虚偽であることは誰の目にも明らかだと述べています。また、自社が中国共産党の工作機関であるとの主張も事実無根であると断じています。発売前の段階で「売上が中国へ流れている」という主張も、売上自体が存在しないため物理的に成立しないと説明しています。

主張2:「著者が報酬(印税)を受け取っていない」

これについても出版社は事実無根であると反論。出版業界の通常慣行に基づき、印税は発売後に支払われるものであり、発売前に支払われないのは当然の取り扱いであると説明しました。

本書の予約は全て自動キャンセルされ、予約者に費用請求は行われず、決済済みの場合も販売元を通じて返金対応が進められています。五月書房新社は、深田氏の一連の行為を重く受け止め、名誉毀損や業務妨害等の法的措置を検討する方針です。あわせて、読者、書店、取次、関係機関への正確な情報伝達も速やかに進めると発表しました。

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