ライター業の傍ら、スキマバイトでさまざまな職場で働いている筆者が仕事を通じて見えた悲喜こもごもをつづる本連載。今回は、某家系ラーメン店でのバイト体験をレポートする。大の家系ラーメン好きである筆者も大興奮!その知られざる裏側とは?(ライター みやーんZZ)
● 家系ラーメン店でスキマバイト! 食器洗いを担当
氷河期世代の40代おじさんである僕が去年、突如ハマったスキマバイト。最近、TikTokで家系ラーメンの仕込み動画を見るのにハマっており、「これを間近で見てみたい!」と某家系ラーメン店のスキマバイトに申し込みました。
僕に任された仕事は食器洗い。このお店は食洗機がなく、全部手洗いでした。社員さんのお手本の洗い方を見ると、漬け置きしたものをサッと洗うだけでいい感じに汚れが落ちることが判明。洗い上がった食器は隣のスペースに積んでおき、適宜片付ければいいだけなので割と問題なくできそうです。
店内は全部カウンター席で15席ぐらい。食べ終わったお客様は食器をカウンターに上げてくれるので、それを下げて流しで洗うスタイルです。基本的に下げ物は社員さんがやってくれるので、僕はそれを受け取って洗うだけ。社員さんが忙しそうにしている時だけ、僕も食器を下げたりしていました。
この日は休日でしたがお客様の来店ペースは割と落ち着いており、満席になるのは1時間に1、2回程度。最初から自分のペースで仕事をすることができました。
食器は大・中・小の3サイズのラーメンどんぶりとご飯茶碗、コップとレンゲ程度なので片付け先もすぐ覚えられて、開始30分でだいたいの仕事の段取りが掴めました。
● スープを混ぜるって 想像以上に重労働
余裕ができたので作業しながら厨房内の観察をスタート。社員さんがスープ用の寸胴に豚ガラを投入しているところを目撃し「これ、TikTokで見たやつだ!」とひそかに興奮する僕。
興味津々で見ていると「ラーメン、好きなんですか?」と社員さんが声をかけてくれました。仕込み動画を見まくっていることを伝えると、社員さんが家系ラーメンのスープについて、いろいろ解説してくれます。
3つある寸胴はそれぞれ「メイン」「サブ」「サブサブ」のスープであり、それぞれを調整・調合しながら出来たスープをお客様に提供しているというお話を「なるほど」と伺っていると、「よかったら、かき混ぜてみます?」とありがたいお言葉が。
知らない方のために説明すると、家系ラーメンのスープはデカい木の棒(エンマ棒)を使って寸胴内のスープをかき混ぜるんです。そうすることで寸胴の中の豚ガラや鶏ガラからいい感じのダシを出すというのが家系ラーメンのやり方。そんな大事な作業を僕も体験できちゃうの……!?
「素人の僕がそんなことしてスープ、ダメになっちゃいませんか?」と確認しましたが、「全然平気です。どうぞー」とエンマ棒を差し出してくれた社員さん。お言葉に甘えてサブの寸胴のスープをかき混ぜさせていただきました。「僕は今、家系ラーメンスープの核に触れているっ!」となんとも言えない興奮が全身を包みます。
やってみると寸胴内の豚ガラや鶏ガラの重みをずっしりと感じます。これを1日にかなりの回数やらなくてはいけないのだから、相当な重労働。動画でただ見るのと実際にやってみるのは大違いだと感じ、とても貴重な体験ができました。
その他にも家系ラーメンの味の要、鶏油を見せていただいたり、豚ガラは高温で炊き続けないと臭みが出てしまうことやキャベツやライス、ガス代など原価が上がりまくり経営が大変だという裏事情なども教えていただいたりして、非常に勉強になりました。