世界で注目されるストイシズム。現代の生活で直面する様々な困難や誘惑に対し、心の平穏を保つための知恵として再評価されています。ブリタニー・ポラット氏による著書『STOIC 人生の教科書ストイシズム』は、その教えを現代に活かすヒントを提供しており、佐藤優氏もその禁欲の重要性を指摘しています。
内省する人物のシルエット、ストイシズムによる自己規律の探求
繰り返される失敗と「快楽の奴隷」
何度も繰り返してしまう失敗、特に依存性の高い習慣からの脱却は困難です。やめたいと心底願っても、なぜか再び同じ行動を繰り返してしまう。これはまさにストア哲学者が警告する「快楽の奴隷」状態と言えるでしょう。自らの意志でなく、衝動や快楽に支配されている感覚です。
ストア哲学が示す警告:快楽の奴隷ほど悲惨なものはない
ストア哲学者セネカは、『ルキリウスに宛てた道徳書簡集』の中で、「快楽の奴隷ほど悲惨なことはない」と述べています。快楽が一度「当たり前」になってしまうと、それなしでは生きていけない状態に陥ります。かつては不要だったものが必須となり、自由を失ってしまう。もはやその快楽を心から楽しんでいるのではなく、ただそれに振り回されているだけなのです。
合法的なものへの注意:日常に潜む「当たり前」の罠
この警告は、薬物のような違法なものに限られません。アルコールのように合法で日常的なものでも、「これなしではやっていけない」と感じる状態は危険信号です。そうした快楽を毎日の「当たり前」にしてしまうと、人生がそれに依存し、コントロールされてしまいます。自身の行動が本当に自由な意志に基づいているのか、それとも快楽に支配されているだけなのか、常に自問自答することが重要です。
快楽や衝動に流され、「快楽の奴隷」となることは、自らの自由と尊厳を失う悲惨な状態です。ストア哲学、特にセネカの教えは、こうした罠から脱却し、自己規律を取り戻すための強力な指針となります。自身の習慣を見つめ直し、本当に価値あるものに禁欲的に向き合うこと。ブリタニー・ポラット氏の『STOIC 人生の教科書ストイシズム』は、現代社会でこの知恵を実践するための道しるべとなるでしょう。
参考資料
- ブリタニー・ポラット著、花塚恵訳『STOIC 人生の教科書ストイシズム』(ダイヤモンド社)
- ダイヤモンド・オンライン掲載記事 (Yahoo!ニュースより)