イスラエル、イラン各地に攻撃拡大 空爆、死者224人

イスラエル軍は16日、声明で「イラン各地で航空優勢を確保する活動を続けている」と表明し、イランとの衝突において作戦範囲を拡大していることを明らかにした。15日には、作戦開始以降でイスラエルから最も遠く離れた標的とされる東部マシャドの空港を空爆。攻撃対象はイラン全土の核施設、軍事施設、政府庁舎、エネルギー関連施設に及んでいる。イラン保健省の発表によると、攻撃開始以降の死者は224人に上るという。

イスラエル軍の戦略と主張

13日の作戦開始直後、イスラエル軍はイラン側の防空システムを無力化するため、西部から首都テヘランにかけての拠点を重点的に攻撃した。その後、対象範囲を広げ、イラン側の反撃能力を奪おうとしている。軍報道官は16日、テヘラン上空での航空優勢を獲得したほか、イランが保有する地対地ミサイル発射装置の3分の1を破壊したと主張した。

革命防衛隊への攻撃強化

イスラエル軍は、イランの最高指導者ハメネイ師直属の軍事組織「革命防衛隊」の精鋭で、対外工作を担う「コッズ部隊」の複数の司令拠点を空爆したことも明らかにした。「代理勢力を通じたテロ攻撃を行っていた」と説明している。イスラエルのネタニヤフ首相は15日、米FOXニュースのインタビューで、革命防衛隊の情報部門トップを殺害したと述べており、同隊への攻撃を一段と強化した形となっている。

イラン、米国の反応

これに対し、イラン外務省報道官は、西部ケルマンシャー州で病院が攻撃されたことについて「戦争犯罪だ」と強く非難した。一方、複数の米メディアは15日、イスラエルが計画したハメネイ師暗殺にトランプ米大統領が反対したと報じた。トランプ氏は自身のSNSで「イランとイスラエルは取引すべきだ」と訴えている。

イラン側の反撃と被害

イラン側も16日、イスラエルの北部や中部へ多数のミサイルを発射した。報道によれば、これによりイスラエル側で8人が死亡したとされる。破壊力が強いとされる極超音速ミサイルが多数使用されたとの見方もあり、革命防衛隊は、これらの攻撃がイスラエルの防空システムの誤射を誘発し、被害を拡大させたと主張している。

全体の被害状況と警告

イスラエル側でこれまでに確認された死者は合計で24人となっている。イスラエルのカッツ国防相は16日、「テヘラン市民は直ちに代償を払うことになるだろう」と警告し、更なる攻撃を示唆した。

イランのテヘラン南部にある石油関連施設から立ち上る炎と黒煙。イスラエル軍の攻撃後。イランのテヘラン南部にある石油関連施設から立ち上る炎と黒煙。イスラエル軍の攻撃後。

米国関連の被害

ハッカビー駐イスラエル米大使は16日、商都テルアビブの米領事館近辺で、イランのミサイル着弾による軽微な被害があったとSNS(旧ツイッター)に投稿した。幸いにも米国人の負傷者はいないという。

イスラエルとイランの間では、攻撃の応酬が続き、双方に被害が出ている状況が続いている。地域の緊張は一段と高まっており、今後の動向が注視される。


参考資料

時事通信