11月に入り、高市早苗総理(64)が率いる政権は、各社の世論調査で7割前後の高い支持率を記録しています。しかし、その高支持率の裏で、政権運営は「いばらの道」を歩み始めたと指摘されています。総裁選で初の女性総裁に就任した際、「働いて働いて働いて働いて働いて参ります」と述べた高市総理ですが、その激務と相次ぐ試練が浮き彫りになっています。
異例の激務と予算委員会への備え
高市政権の多忙さは、異例のスケジュールからも見て取れます。11月7日の衆院予算委員会に備え、官僚たちが午前2時30分に首相公邸に召集されるという前代未聞の事態が発生しました。過去に早朝の勉強会はありましたが、午前3時からの準備は極めて異例であり、高市総理の精力的な働きぶりが伺えます。衆院予算委員会は、野党議員との一問一答形式で、事前に質問は通告されるものの、詳細なやり取りは当日まで予測不可能です。かつて安倍晋三総理が「逆ギレ答弁」で物議を醸したように、予定調和のない緊張感の中で論戦が繰り広げられる場であり、失言は許されません。
これまでの大臣経験では、高市氏は答弁書を官僚任せにせず、自ら内容を確認・修正することで知られていました。総理大臣という立場では、その対象分野は格段に広がり、かかる負担も増大しています。
健康問題と個人的な試練
高市総理の体調管理を巡っては懸念の声も上がっています。これまで、夫である山本拓氏(73)が調理師免許を持ち、食事面で高市氏を支えていましたが、10月に山本氏が脳梗塞で倒れてしまいました。このため、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)では、高市総理が昼食会や夕食会を「日程上の都合」として欠席するなど、健康面での不安が指摘されています。激務が続く中で、私生活での支えを失ったことが、今後の政権運営にどう影響するのか注目されます。
高支持率を誇る高市政権。今後の政権運営には困難が伴うとの見方
物価高対策と議員定数削減を巡る攻防
高市政権は、物価高対策としてガソリン・軽油の暫定税率廃止や電気・ガス代の補助を所信表明演説で打ち出しました。臨時国会でガソリン減税関連法案が成立する見込みですが、この法案は元々野党が提出したものであり、自民党が了承する形となりました。そのため、ガソリン価格が下がった際に「わが党の政策が実現した」と主張するのは野党となる可能性が高いと見られています。
さらに、臨時国会における最大の焦点は、衆議院議員定数の1割削減が実現するか否かです。少数与党となった自民党にとって、安倍政権下のような強引な法案成立は望めません。自民党と連立政権を組む日本維新の会は、合意文書で「2025年臨時国会中に議員立法を提出し、成立を目指す」と明記しており、議員定数削減は維新にとって最重要政策の一つです。維新の吉村洋文代表(50)も「改革のセンターピン」と繰り返し述べており、高市総理も予算委員会で「提出する」と断言しました。
連立の代償と党内対立
しかし、自民党内では議員定数削減を巡って意見がまとまっていません。調整役の鈴木俊一幹事長(72)は、「比例だけにするのか、小選挙区も減らすのかなど、さまざまな意見がある。具体的な結論を会期末の12月17日までに決めきるのは難しいのではないか」と既に白旗を揚げています。党内がまとまらない状況にもかかわらず、高市総理がトップダウンで強行した場合、国会での野党の反発は必至であり、参政党や公明党などの小規模政党も賛同しないと見られています。
維新幹部は、議員定数削減が実現しなければ連立を離脱すると明言しており、高市政権は板挟みの状況に陥っています。この窮地を打開するためか、維新の藤田文武共同代表(44)が「衆院解散も選択肢」との認識を示したことで、永田町では「議員定数削減で解散か」との憶測が飛び交いました。これに対し、高市総理は11月10日の衆議院予算委員会で、「少なくとも議員定数の議員立法を争点に解散するということは、普通考えにくいんじゃないでしょうか」と述べ、解散に否定的な見解を示しました。
高市政権は高支持率を維持しているものの、自民党の政党支持率は3割前後と伸び悩んでおり、これまで選挙協力を行ってきた公明党の協力を得ることも難しい状況です。維新の政策のために自民党内で多大な労力を費やし、やっと法案を提出できたとしても、国民民主党を除く野党は反対する可能性が高いと、自民党の若手議員からも不満の声が上がっています。
首班指名選挙を乗り切るために維新の力を借りたことの「ツケ」が巡ってきた高市政権。高支持率に沸き立ってはいるものの、その前途に立ちはだかる「いばらの道」は始まったばかりと言えるでしょう。
出典:FRIDAYデジタル





