ダイキン株価、5年ぶり安値圏に低迷 業績不振と中計未達が重し

空調大手ダイキン工業の株価が約5年ぶりの安値水準に低迷している。足元の業績不振と中期経営計画の目標未達が重しとなり、厳しい評価を受けている。特に、海外投資家からは収益性向上を求める声も聞かれるなど、逆風が強まっている状況だ。

業績低迷と株価の現状

株価は6月12日終値で1万6485円と、2023年7月の上場来高値3万1330円から見ると、ほぼ半値の水準に落ち込んでいる。今年4月には一時1万5000円を割る場面もあった。

主な要因は業績の伸び悩みにある。2024年度の営業利益は4016億円と前期比2.4%増にとどまり、会社計画の4280億円を下回って着地した。前期実績には約130億円の為替による押し上げ効果が含まれており、これを除くと実質的には営業減益となる。

ダイキン工業の国内主要製造拠点である滋賀製作所の外観ダイキン工業の国内主要製造拠点である滋賀製作所の外観

中期経営計画の大幅な目標未達

会社側は今2025年度の営業利益を前期比8.3%増の4350億円と見込むが、これは2023年に公表した中期経営計画で掲げた2025年度目標5000億円には大幅な未達となる見通しだ。一部のアナリストからは、2025年度の会社計画自体も達成が難しいとの見方が出ている。

竹中直文社長は中期経営計画の目標未達について、「当初の需要前提からの変化をのぞけば実質的に達成する」と説明している。しかし、市場の反応を見る限り、社長の説明を額面通りに受け止めた投資家は多くなかったようだ。

ダイキン工業の竹中直文社長 決算説明会にて業績について説明する様子ダイキン工業の竹中直文社長 決算説明会にて業績について説明する様子

海外市場成長の鈍化

ダイキンの成長を長年牽引してきたのは海外市場での成功、特に米国市場の拡大だった。2012年のグッドマン買収などを通じ、「北米空調ナンバーワン」を目指してきた。毎年10%を超える高い成長率を誇っていた海外市場だが、2025年度見通しでは売上高の成長率が10%を超える市場がなくなった。為替影響を除いたベースでも、米州プラス13%、アジアプラス10%にとどまり、過去の勢いには物足りない水準となっている。

これらの業績低迷、中期経営計画の大幅未達、そして海外市場成長の鈍化といった複数の要因が重なり、ダイキン株価の低迷を招いている。市場の信頼回復には、今後の具体的な成長戦略と収益性改善に向けた取り組みが注目される。

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