石破首相、参院選公約に「国民一律2万円給付」検討指示 物価高対策の行方は?

6月13日、石破茂首相は夏の参議院選挙に向けた自民党の公約に、国民一人あたり2万円の現金給付を盛り込むよう指示しました。これは、物価高騰に直面する国民への対策として打ち出されたものです。特に、子供がいる世帯や住民税非課税の低所得世帯の大人には、さらに2万円が加算され、合計4万円が給付される方針が示されています。

石破首相が表明した国民一人あたり2万円給付案石破首相が表明した国民一人あたり2万円給付案

石破首相、一転して現金給付検討を指示

この現金給付の提案は、一部で驚きを持って受け止められています。というのも、指示が出されるわずか2日前の6月11日に行われた党首討論で、石破首相は現金給付について「検討していない」と述べていたからです。

石破茂首相は今回の方針転換について、「決してバラマキではなく、本当に困っておられる方々に重点を置いた給付金を来たるべき参議院の公約に盛り込むよう検討するように指示をいたしたところでございます」と説明しました。

ジャーナリストの岩田明子氏は、党首討論の時点ですでに給付金の具体的な金額(2万円という相場)は財務省内で検討され、ほぼ決まっていた可能性を指摘しており、「事実とは乖離した答弁になってしまっている」と述べています。

この「国民一律給付金」案に対しては、特に参院選の候補者から「バラマキだ」との批判が出ることを懸念し、反発の声も上がっていると報じられています。

財源は?そして参院選への影響は?

給付金に必要な財源は約3兆円と試算されています。政府はこの財源として、税収の上振れ分を充てる方針を示しています。しかし、これについても国民民主党の玉木雄一郎代表は党首討論で石破首相に対し、「単年度でも税収の上振れ分を国民の皆さんに還元するような財政状況にはないという認識ですか?」と質問。石破首相は「現在、そのような財政状況になるとは認識しておりません」と答弁しており、財源確保の確実性には疑問符が付く状況です。

参院選を目前に突如として浮上したこの給付金案に対し、有権者はどのような見方をしているのでしょうか。ある30代の4人家族は、「子供に対しても増額をしているっていう面はうれしいんですけど。ちょっと選挙対策も入っているのかな。まあでも、もらえるものはもらっとくかみたいな感覚はちょっとあります」と冷静な見方を示しています。

果たして、喫緊の課題である物価高対策として、この現金給付が有効なのか、そして参院選にどう影響するのか、議論が続いています。

「現金給付」か「消費税減税」か?専門家と国民の声

物価高対策としては、現金給付の他に消費税減税も選択肢として議論されています。MCの谷原章介氏は、2021年から税収の上振れが続いていることを踏まえ、「だったら消費税みたいにこれから先ずっと税収がなくなるっていうんじゃなくて、その上振れ分でまかなえちゃうんじゃないの?」と疑問を投げかけました。

スペシャルキャスターのカズレーザー氏は、現金給付の持つ「力」を評価し、1カ月あたりの平均的な食費と比較して、消費税が下がった場合よりも2万円の給付の方がプラスになる人が多い可能性があると指摘しました。

一方で、池畑慎之介氏は、長期的な視点では消費税が減税され続ける方が買い物する立場としては良いとしつつも、「今お金欲しい方っていうのは消費するお金もないわけじゃないですか。その人たちのためにも2万円という金額はありがたいのかなと思います」と、それぞれの政策が恩恵をもたらす対象が異なるとの見解を示し、「ちょっと苦しい選択ですよね」と悩ましさを表現しました。

テレビ番組「サン!シャイン」には、視聴者からこの問題に関して多数の意見が寄せられました。

【賛成意見】

  • 「今は、お米に卵に電気代に…頭を抱えている毎日。2万円大きいです」(60代)
  • 「何もしてくれないなら、現金給付でもらいたいです。少なかろうが助かります」(50代)
  • 「物価高騰の今だからこそ現金給付が一番いい。減税もまた税制が困る」(40代)

【反対意見】

  • 「今は助かりますが、未来を考えると不安です。根本的な改革が必要では?」(30代)
  • 「お金配るなら社会保険料を下げてほしい」(60代)
  • 「2万円なんて焼き石に水。国民はそんなこと望んでいない。せめて食品に対して消費税減税や非課税にするくらいした方がよい」(50代)
  • 「受け取るための事務作業、職員の賃金など、そこを明らかにしてほしい」(60代)

現金給付案は、物価高に苦しむ国民にとって一時的な助けとなる可能性を秘めている一方で、財源や効果の持続性、そして選挙対策ではないかという疑念など、様々な論点が指摘されています。夏の参院選に向けた重要な公約の一つとして、今後の行方が注目されます。

参考文献

  • FNNプライムオンライン (記事配信元: Yahoo!ニュース)