石破首相は18日、カナダで開催されたG7首脳会議への出席を終え、記者会見に臨みました。この会見で首相は、政府が物価高対策として検討を進める給付金について、「決して少なくない」との認識を改めて示しました。物価上昇が続く現状への対応策として給付金を打ち出したことの正当性を強く強調しました。
首相は会見の中で、物価高への根本的な対応は消費税減税のような政策ではなく、物価上昇を上回る賃上げの実現こそが基本であり最優先課題であるとの考えを述べました。しかし、賃上げが物価上昇に追いつくまでの間も国民への支援が必要であるとして、給付金制度を参院選の公約に盛り込む検討を指示したことを明らかにしました。
今回の給付金について、首相は1人あたり2万円、子どもおよび住民税非課税世帯の大人には4万円という具体的な金額に言及しました。そして、2024年度補正予算で実施され、すでに支給が始まっている低所得世帯向けの1世帯あたり3万円、子ども1人あたり2万円加算の給付金を引き合いに出し、「それ(既存の給付金)よりも手厚いものだ」と述べました。さらに、給付金以外の物価高騰対策に資する様々な政策も実施していることに触れ、「これを全体で合わせて考えていただきたい。これは決して少なくはないと考えている」と、給付金の額が十分であるとの認識を示しました。
石破首相がカナダでのG7サミット後記者会見で物価高対策について説明する様子
首相は、給付金政策が消費税減税と比較されることが多いことに触れ、その違いを強調しました。給付金は高額所得者に手厚く支援するものではなく、「本当に困っておられる方々に重点を置くことが可能となる」と説明しました。また、給付金はより早期に実施が可能である一方、消費税減税には相応の時間がかかるため、喫緊の課題である物価高に苦しむ人々への対応としては「給付金の方がはるかに効果的であると考えている」と述べ、即効性と対象の絞り込みにおける給付金の優位性を主張しました。
さらに首相は、そもそも消費税は医療や介護といった社会保障を支える「貴重な財源」であると強調しました。そのため、消費税を軽々に減税することには「慎重な上にも慎重であるべきだ」との立場を明確にしました。社会保障の貴重な財源であることを決して忘れてはならないとの考えを示し、消費税減税との比較において、給付金は社会保障財源を守りつつ必要な支援を届けられる「より優れた対応だ」との認識を示し、改めて給付金政策の正当性を訴えました。
物価高対策として給付金を推進する背景には、対象者を絞り込み早期に支援を届けたいという意図と、社会保障の根幹を支える消費税財源を守りたいという政府の強い意志があることが、首相の発言から改めて浮き彫りとなりました。