下流老人、老後破産…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。自身の老後のために貯蓄したいところですが、現役世代には「親の介護」も重要な課題となっています。厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』等の結果と共に、老人ホームの費用についてみていきます。
年金だけでは「介護施設代」はとうてい払えない
「認知症になっても自分でなんとかするから。気にしなくていいから」……そのように両親から言われている人もいるかもしれませんが、実際にはそうもいきません。親が倒れれば、子どもに連絡がいくものです。独居している親が亡くなった場合には、警察などからも連絡が来るでしょう。
超少子高齢社会において、「親の介護」は多くの世代にとって頭を悩ませる問題です。もちろん介護施設に入所させるにもお金がかかります。親の年金で賄えればいいですが、そうもいかないのが現実であるようです。
まずは年金。介護施設入居者の平均年齢は、介護付ホームでは85.7歳、住宅型ホームでは83.3歳、サービス付き高齢者向け住宅では82.1歳であることを踏まえ(平成26年 公益社団法人全国有料老人ホーム協会『有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業』)、80代高齢者の年金を見てみましょう。
厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、80〜84歳の高齢者が受け取っている平均年金額は、厚生年金が月15万5,635円、国民年金が月5万7,045円。85〜89歳では、厚生年金が月16万2,348円、国民年金が5万7,336円です。
厚生年金の受給状況を男女別に見てみると、男性では月額17〜18万円、女性では月額9〜10万円支給されている割合が最も高くなっています。
では、介護施設代はいくらなのでしょうか。
老人ホームの入居代に関しては、利用者の所得が低い場合は補助給付が適用され、費用は数万円から十数万円程度に抑えられることもあります。しかし、一般的な企業で定年まで勤めたホワイトカラーの方が特別養護老人ホーム(特養)の個室ユニットに入所し、プライバシーを確保しながら暮らす場合、月額で約20万円の費用がかかるとされています。