朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)の放送内容が、SNS上で大きな議論を巻き起こしています。番組内で最新トレンドとして紹介された、コナミが提供するアミューズメント施設向けプリントサービス「カードコネクト」の使用方法を巡り、サービスの利用規約違反を助長しかねないとの指摘が相次いでいるためです。この問題は、「推し活」と呼ばれるファン活動のあり方と、メディアにおける情報発信の責任について改めて考えさせる事態となっています。
番組での「推し活グッズ」としての紹介
物議を醸しているのは、6月16日に放送された『ZIP!』のトレンドアイテム紹介コーナーです。このコーナーで取り上げられたのは、ゲームセンターなどに設置されている「カードコネクト」。番組では、ゲームキャラクターのカード化に加え、ユーザーがお気に入りの写真を取り込んでオリジナルカードを作成できる点に注目しました。特に、「推し活に!ゲームセンターで作るカード」というテロップが表示され、総合司会の水卜麻美アナウンサーも「お気に入りの画像や応援している人、推しなどの写真を取り込んでオリジナルのカードを作るというのが人気なんです」と説明。番組のリポーターが実際に水卜アナ、月曜パーソナリティの風間俊介さんらの顔写真を使ってカードを作成し、スタジオで出演者が笑顔で手に取る様子が放送されました。この放送は、「推し活」でオリジナルグッズを作成する新たな方法として紹介される形となりました。
日テレ『ZIP!』で紹介された、出演者の顔写真を使ったカードコネクト作成例
利用規約違反の指摘とSNSでの批判
しかし、この放送内容に対して、視聴者やインターネットユーザーから疑問の声が噴出しました。問題とされたのは、「カードコネクト」のサービス利用規約です。提供元であるコナミの利用規約第5条では、「当社を含む他者の知的財産権、プライバシー権その他権利を侵害するもの」「肖像の使用許諾を得ていないもの」の印刷を禁止しています。番組で紹介されたように、許可なく著名人の顔写真やキャラクターのイラストを利用してカードを作成する行為は、肖像権や著作権を侵害する可能性が極めて高い行為にあたります。
この規約を知るユーザーからは、X(旧Twitter)上で「カードコネクトを推し活アイテムとして紹介してしまうのは大変良くない」「利用規約違反を地上波で拡散することとかマジで何事だよ」「規約違反を推奨する番組」といった批判的な投稿が相次ぎ、炎上状態となりました。公共性の高い地上波放送で、サービスの規約違反行為を推奨するかのような紹介がされたことへの強い懸念が示されました。
日本テレビの対応と補足説明
こうした批判を受け、本件について取材が行われたところ、日本テレビ広報部から回答がありました。同局は、「番組でカードコネクトを扱うことについて、許可は得ております」と、コナミからの番組での紹介許可は得ていたことを明らかにしました。一方で、「一部、誤解をまねく表現や、説明が足りていない部分がありました」と認め、放送内容に不備があったことを示唆しました。
これに対応するため、日本テレビは番組の公式サイトに補足説明を掲載しました。公式サイトでは「6月16日(月)に放送した「キテルネ!」のコーナーで、一部、説明が不足していた点がありました。番組で取り上げた、「カードコネクト」を利用する際は、肖像の使用許諾も含め、利用規約を確認してください」と記載し、利用規約の確認を促す異例の対応を取りました。これは、番組側が放送における説明不足を認め、誤解の解消に努めた姿勢を示すものです。
「推し活」における権利侵害のリスクに注意
今回の騒動は、テレビ番組が最新トレンドを紹介する際に、サービスの利用規約や法的な側面への配慮が不足していたことから発生しました。「推し活」は多くの人々にとって大切な活動ですが、その過程で著作権や肖像権といった他者の権利を侵害しないよう細心の注意が必要です。サービスの利用規約を確認することはもちろん、インターネット上で公開されている画像やイラストについても、安易な利用は権利侵害にあたる可能性を常に認識しておくべきでしょう。今回の『ZIP!』での一件は、メディアだけでなく、ユーザー側も情報のリテラシーを高め、責任ある行動をとることの重要性を改めて浮き彫りにしました。