「Nintendo Switch2」転売騒動:著名人の「炎上」が示す異常なまでの「忌避感」の正体

任天堂が発売した新型ゲーム機「Nintendo Switch2(以下、Switch2)」をめぐる有名人の行動が、連日世間を賑わせている。6月5日から販売が開始されたSwitch2は、前機種に続き非常に高い人気となり、任天堂は現在までに複数回の抽選販売を行ったものの、入手困難な状況が続いている。XなどのSNSでは、抽選に外れた多くの人々から「落選」の報告が相次ぎ、品薄状態への不満が募っている。こうした状況下で、著名人の「転売」をめぐる言動が大きな波紋を呼んでいる。

ゲーム好きとして知られるタレントの中川翔子(40)は、6月8日に自身のYouTubeチャンネルで「【ゲーム】念願の「Switch2」をゲット、開封、プレイ!」と題した動画を公開した。動画の冒頭で、彼女は興奮した様子で透明の緩衝材に包まれた「Switch2」の箱を紹介。その後、箱を取り出す際に、箱と一緒にレシートのような紙が封入されている様子が映り込み、一部の視聴者から「転売ヤーから購入したのでは?」との疑惑が浮上。批判の声が寄せられた。

Nintendo Switch2のパッケージ。著名人の開封動画が転売騒動に。Nintendo Switch2のパッケージ。著名人の開封動画が転売騒動に。

しかし、中川は6月15日に自身のXで「Switch2絶対にフリマサイト、転売ヤーから買ってません」と疑惑を否定。さらに17日には、中川の所属事務所がメディアの取材に応じ、動画に登場したSwitch2は、中川が妊娠祝いとして友人から譲り受けたものであると説明した。事務所は「該当の友人が保証書とレシートが一緒になっているものを箱に同封してくれていたもので、決してフリマサイトや高額転売のものを購入した事実はありません」と釈明し、騒動の沈静化を図った。

中川翔子が転売からの購入疑惑を否定した一方で、自ら転売ヤーからの購入を公表し、批判を集めているのが、チャンネル登録者数172万人を超える人気YouTuberのラファエルだ。ラファエルは6月9日に公開した動画の中で、正規ルートではSwitch2を入手できなかったと述べ、「今回はちょっと転売からの形で購入させていただきました」「転売ヤーの皆様、ありがとうございました本当に」と発言。そして、入手した1台を視聴者プレゼントすると発表した。

「Switch2」が多くの人が「欲しくても買えない」状況が続く中、転売ヤーから入手したことを公言し、さらには感謝の言葉まで述べたラファエルに対して、視聴者からは「ドン引きです。堂々と転売ヤーから買いましたって」といった強い批判が噴出した。彼が批判を招いたことも、また誤解であったにも関わらず中川に批判が集中したことも、その背景には、現代社会における「転売ヤー」への異常なまでの強い忌避感があると、あるITジャーナリストは指摘する。

同ジャーナリストによれば、任天堂は「Switch2」の販売において、「2025年2月28日時点で、Nintendo Switchソフトのプレイ時間が50時間以上であること」といった独自の応募条件を設定したほか、フリマサイトを運営する大手3社と連携し、不正出品を防止するための異例の取り組みを発表している。また、保証書をレシートなどで代用する仕組みは、個人情報が露見することを嫌がる転売ヤーへの抑止力として期待されているという。こうしたかつてない厳格な転売対策の根底にあるのは、「本当にゲームを遊びたいファンにSwitch2を届けたい」という任天堂からの明確なメッセージに他ならない。こうした企業の努力が功を奏したのか、現状フリマサイトなどで転売されているSwitch2は、わずかな利益しか出ないケースが大半だという。

こうした社会全体の流れもあり、任天堂の「多くのファンにゲームを届けるための配慮」ともいえる転売対策を無視し、いまだ出品を続ける転売ヤーに対して、SNS上でも「恥ずべき行為だ」といった嫌悪感がかつてないほど広がっている。そのため、社会的な影響力を持つ著名人が転売ヤーから商品を購入したり、購入を疑われるような行動を取ったりすることで、こうした強い嫌悪感を背景とした批判が巻き起こりやすくなっているのだろう。

今回の著名人をめぐる一連の騒動は、単なるゲーム機の品薄問題にとどまらず、現代社会において「転売行為」そのものがいかに多くの人々から忌み嫌われているか、そしてその嫌悪感が著名人の言動に対していかに厳しい目を向けさせているかを浮き彫りにしていると言える。

出典:Yahoo!ニュース / 女性自身