ソプラノ歌手で芸人ミッチェルさん、47歳で子宮体がんのため死去

ソプラノ歌手でありお笑い芸人としても活躍したミッチェルさんが8月18日、子宮体がんのため47歳で死去しました。所属事務所の吉本興業が8月25日に発表し、その早すぎる逝去に多くのファンや関係者から悲しみの声が寄せられています。ミッチェルさんは生前、その明るい人柄と多才な才能で親しまれ、特にNSC東京25期の同期からは「25期の母」として慕われていました。

壮絶な闘病、5年生存率20%からの再起への強い意志

ミッチェルさんは2024年3月、吉本興業のWEBメディア「FANYマガジン」のインタビューで、子宮体がんステージⅣのBと診断されたことを公表しました。医師から告げられた「5年生存率20%」という厳しい現実に直面しながらも、彼女は決して希望を失いませんでした。インタビューでは「20%でも可能性があるのだったら、私は前を向いていきたい。だって、音楽家としても芸人としてもまだまだ成し遂げたいことがたくさんあるのだから」と、病と闘いながらも自身の夢を追い続ける強い意志を力強く語っていました。

最後の芸能活動と突然の体調悪化

診断後もミッチェルさんは、歌手そして芸人として精力的に活動を続けていました。2024年7月8日には、TBSラジオの番組「パンサー向井の#ふらっと」に出演し、これが生前最後の芸能活動となりました。同日夜には、浦安市文化会館大ホールで開催された演奏会にゲスト出演。魂のこもった歌声を披露し、観客を魅了しました。しかし、この本番後に体調が急激に悪化。翌日9日には、あり得ない数値を示す検査結果により緊急入院を余儀なくされました。彼女は歌い続けることを懇願しましたが、信頼する医師のドクターストップを受け入れざるを得ませんでした。7月26日には自身のX(旧Twitter)で、「7月8日に全ての運を使い果たしたのかもしれません。この日、舞台に立てたのも奇跡」と、最後のステージでの奇跡的な経験を振り返り、その数日後には「生きてることが奇跡、本番できたことが奇跡、くらいの状態で緊急入院になってしまいました」と当時の状況を明かしています。

ソプラノ歌手・お笑い芸人として活躍したミッチェルさんの在りし日の姿ソプラノ歌手・お笑い芸人として活躍したミッチェルさんの在りし日の姿

SNSに綴られた最後のメッセージと生きた証

ミッチェルさんのSNSでの最後の投稿は8月8日でした。この日の早朝には、プレゼントされたおしゃれなアイマスクをつけた自身の写真を公開し、「香りもいいし、何よりこのデザインとカラー」と明るい調子で綴っていました。しかし、同日夕方には一転して「痛みが酷くて気力がない。薬を飲んでも効かないほど、リンパ浮腫の洗礼を受けてる」と、激しい痛みと疲弊した様子を告白。病状の進行がうかがえるメッセージとなりました。また、8月12日には、彼女の最後の公演を見守った観客の「前情報ほぼなしで聴いたこのステージ。魂、気迫‥すっかり引き込まれてしまいました。またぜひ見たい、聴きたい」という感動の投稿をリポストし、最後までファンとの心の交流を大切にしていました。

音楽と笑いに捧げた生涯:「25期の母」としての足跡

ミッチェルさんは2歳半からピアノを始め、高校、大学では声楽を専攻するなど、幼い頃から音楽の道を歩んできました。オペラをはじめとする幅広いジャンルで歌い手として活躍し、その歌唱力は多くの人々を魅了しました。2019年には40歳という節目でNSC東京25期に入学し、お笑いの世界へと飛び込みました。その面倒見の良さから同期生からは「25期の母」という愛称で親しまれ、卒業後は自身の本名ミッチェルとして、音楽と笑いを融合させた独自のスタイルで芸能活動を展開しました。彼女の多岐にわたる才能と、どんな状況でも前向きに生きる姿勢は、多くの人々に勇気と感動を与え続けました。

ミッチェルさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。


参考文献: