長年、東大病院で救急・集中治療の部長を務め、最先端医療に携わってきた東大名誉教授で医師の矢作直樹氏。数多くの経験を経て独自の人生哲学と死生観を持つことで知られ、現在は書籍や講演活動を通じ、変容し続ける不安定な時代に生きる私たちへの指針となる”不変の智慧”を発信しています。本稿では、矢作氏の新刊より、現代を生きる私たちが日々の営みで取り入れるべき心の在り方、特に「俯瞰」について解説します。
矢作直樹氏が今、大切にしていること
私は医療の現場に長年身を置き、人の体と心、「生きる」ということと向き合ってきました。その中で感じ、見えてきたことを今お伝えしたいのです。私が今、大切にしているのは、心の在り方、食べること、体の休め方、体の使い方です。中でも「心の在り方」は生き方の土台であり、「他者とのかかわり」の中で深まり、日々の鍛錬だと感じています。
強力な心の武器「俯瞰」とは
そこで、最強の“心の武器”となるのが「俯瞰」です。俯瞰とは、物事を大きな視点で、まるで上から全体を見渡すように見ることです。もし今、悩みごとや葛藤が頭をよぎるなら、その物事を俯瞰して見てみましょう。そうすることで、それぞれの立場や事情が明確になり、自分の今置かれている立場や役割も、自然と明らかになってくるはずです。
高い視点から悩みや葛藤、物事全体を俯瞰する様子
感情を切り離し、全体像を捉える
大切なのは、感情的にならずに、物事を一度自分から切り離して考えてみることです。それによって、自分の「分」をわきまえることができ、自ずと問題点が浮かび上がってくるのです。
冷静さを取り戻し、適切に対処する
そうして冷静さを取り戻したら、不必要に不遜になったり、悲観することもありません。俯瞰することで、状況を客観的に把握し、適切な心の持ち方で日々を送ることができるようになるのです。
まとめ
矢作直樹氏が示す「俯瞰」の智慧は、悩みや葛藤に直面した際に、感情に流されず物事全体を冷静に見るための強力なツールです。高い視点から自分と状況を客観視することで、自身の立ち位置や問題点が明らかになり、心の平穏を取り戻し、適切な対処法を見出すことができるでしょう。この「俯瞰」を日々の心の鍛錬として取り入れることが、不確実な時代を強く生き抜く指針となります。
参照
Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/931fe96add014426205b28c7c834c4ac7d4877fb