韓国・仁川のチキンフランチャイズ店舗が、電光掲示板に「尹錫悦氏の大統領罷免」や「李在明当選」といった政治的メッセージを掲示したことで、フランチャイズ本部から契約解除を警告されたことが明らかになった。これは店舗オーナーの政治的主張とフランチャイズ本部のブランド保護を巡る対立であり、表現の自由が争点となっている。本部からの度重なる警告にもかかわらず、店主は憲法上の権利を主張し、法的な根拠を求めている。
最初の警告:尹大統領罷免掲示と本部の対応
この問題は今年4月、憲法裁が尹錫悦大統領の弾劾を認めない判断を下した後にもかかわらず、問題の店舗が掲示板に「被請求人ユン・ソンニョルを罷免する。国民の皆さま、ありがとうございます」と表示したことに始まる。これに対し、インターネット上では批判が殺到し、フランチャイズ本部にも多数の苦情が寄せられた。本部はこの時、「再発すれば店舗閉鎖を含む最大限の措置をとる」と警告。店主は「ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます」と謝罪メッセージを掲示し、再発防止を約束する確認書を提出した。
再度掲示:李氏当選、セウォル号メッセージと2次警告
しかし、店主は再発防止の約束に反し、6月4日の大統領選挙後に再び掲示板に「第21代大統領イ・ジェミョン当選」と表示した。さらに14日には「20140416 セウォル号、永遠に記憶します」というメッセージと共に、李ジェミョン氏が国立墓地参拝時に記したとされる言葉「共に生きる社会。国民が主人の国。国民が幸せな国。国民と共に作ります」も掲載した。本部はこの行為がブランドイメージと他店営業に損害を与えたとして、「フランチャイズ契約違反に関する即時是正要求書(第2次)」を送付し、2回目の警告を発出。書面では「数十件の苦情が本部に寄せられ、ブランドのイメージと信用に深刻な損害を与え、他の加盟店の営業にも悪影響を及ぼした」と指摘。「再度同様行為があれば、フランチャイズ契約書および関連法令に基づき、警告手続きなしに契約を即時解除する。違約金・損害賠償を含むすべての法的責任を負わせる」と通告した。
韓国のチキン店の電光掲示板に表示された政治的主張の例。フランチャイズ本部との対立の原因となっている。
店主の反論:表現の自由と不当な強要
店主はこれに対し、17日、反論の内容証明を送付。「表現の自由は憲法第21条で保障されており、政治的表現は尊重されるべき基本的価値だ」と反論した。さらに「本件がいかなる法的根拠に基づいて制限されるのか明示せよ。法的根拠がないならば不当な強要行為であり、フランチャイズ法第12条にも違反する違法行為だ」と述べ、本部の警告の法的根拠を問い直している。
この騒動は、韓国において、個人の政治的表現の自由と、フランチャイズ契約に基づく事業者の義務、そしてブランドイメージ保護という三者の間で発生した複雑な対立を示している。フランチャイズ本部が契約違反を理由に警告を強化する一方、店主は憲法上の権利を盾に反論しており、今後の展開が注目される。
【引用元】
KOREA WAVE/AFPBB News
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