中居正広氏と、元フジテレビ女性社員を巡る性トラブル問題が依然として波紋を広げている。2024年6月17日、『WEB女性自身』は、フジテレビが一連の騒動を検証する番組を7月6日に放送予定であると報じた。記事によれば、フジテレビが港浩一前社長や大多亮元専務を提訴する影響もあり、この検証番組はゴールデン枠での放送が見送られ、1時間の番組枠になるとされている。
フジテレビ検証番組、その内容と限界
この検証番組の放送時間が短縮される背景には、主要な関係者からの取材協力が得られていないことがあるという。芸能記者の話では、トラブル発生当時のフジテレビ幹部であった港氏、日枝久元取締役相談役、そして編成部の社員、さらには問題との関連が報じられている中居正広氏が取材に応じていないことが挙げられている。取材に応じたのは、元女性社員から相談を受けていた当時アナウンス室部長であった佐々木恭子アナウンサーのみとのこと。このような主要人物たちの非協力的な姿勢に対し、SNS上では「反省しているようには見えない」といった疑惑や批判が強まっている状況だ。
フジテレビの女性問題報道に関連するタレントの中居正広氏
SNSで噴出する批判「身内のお手盛りか」
実際に、SNSプラットフォームのX(旧Twitter)では、フジテレビの対応に対する批判的な意見が多数見受けられる。「主犯格が不在のまま、どうやって検証するというのか。得意のお手盛りパフォーマンスで有耶無耶にするつもりではないか」という厳しい声や、「フジテレビの検証番組について、真偽不明の噂も流れているが、フジテレビは結局反省しないのだろう」「これは中居騒動というよりフジテレビ内部の問題だ。そもそも身内同士の検証番組に何の意味があるのか」といった、番組の実効性や局の姿勢そのものを問うコメントが噴出している。
求められる徹底取材:専門家の見解
このような検証番組に対して、徹底した取材が不可欠であると語るのは、ある芸能ジャーナリストだ。過去のメディアが自己の不祥事に対し「猛省」を示した具体的な事例を振り返り、今回のフジテレビの対応との比較を試みる。
過去の教訓:TBSビデオ問題の衝撃と対応
36年前、TBSはオウム真理教を追及していた坂本堤弁護士のインタビュー映像を、誤って教団幹部に視聴させてしまうという問題を引き起こした。その後、教団は坂本弁護士一家を拉致・殺害。1995年の地下鉄サリン事件をきっかけとした一連の捜査の中で、教団の国家転覆計画と、その中で坂本弁護士が殺害された経緯が明らかになった。結果として、坂本弁護士一家殺害の端緒を作ったとされるTBSの行動は「TBSビデオ問題」として世間から激しい非難を浴びることとなる。
この問題を受け、TBSは1996年に検証番組『視聴者の皆様へ』および『証言・坂本弁護士テープ問題から6年半』を合わせて約4時間にわたり放送した。当時の磯崎洋三社長が出演し、ビデオ問題発生の経緯、社内調査の結果、そして視聴者への謝罪をおこなった。この日をもって磯崎社長は辞任している。社会を大きく揺るがしたこの問題において、関係者への徹底的な取材が行われたことは当然のこととして受け止められた。
TBSと比較して見えるフジテレビの課題
今回のフジテレビを巡る問題も、その性質から社会的に極めて重大な事案であると言える。上記のTBSが過去に対応した姿勢と比較すると、今回のフジテレビが決定した検証番組はあまりにも中途半端であるとの意見が強まっている。元女性社員への被害を把握していたとされる当時の幹部全員が取材に真摯に対応し、知りうる限りの全てを明らかにすることが、テレビ局としての社会的な責任を果たす上で不可欠であるという声が高まっているのだ。
組織として、真に反省し、責任を果たす姿勢を示さなければ、いつまでたっても問題の根本的な解決には至らず、新たな一歩を踏み出すことはできないだろう。