【記者発】コネ社会の流儀 外信部・時吉達也

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 7月、日本製品の不買運動を訴えるイベントで壊された日本車=韓国・仁川(聯合=共同)

 7月、日本製品の不買運動を訴えるイベントで壊された日本車=韓国・仁川(聯合=共同)

 チョ・グク前法相の娘の不正入学疑惑に端を発し、韓国では入試改革に向けた議論が熱を帯びている。連日の報道を見るにつけ、韓国で大学生活を始めた当時を思い出す。

 約15年前、早稲田大を卒業後、ソウルの大学に編入入学した。韓国について専門的に学んだ経験がなかったこともあり当初は大学選びに難航したが、ある時仲介を得て学校側に接触すると「ワデ(早大)の学生が韓国で勉強するならウエルカムだ」と、とんとん拍子で準備手続きが進んだ。入試自体は正規の手続きを踏み、やましい話ではないのだが、留学生活のスタートから韓国での「物事の進め方」を学んだものだ。

 今月、1カ月間ソウルに短期滞在し、集中的に取材を行う機会を得た。コネの大切さを再び実感するのに、時間はかからなかった。

 公式メールアドレスや会社の代表電話などを通じて相手と接触を図っても、当たり前のように無視される。ようやく本人と連絡がとれたとしても、「後で日程の候補を送るよ」とこちらを喜ばせつつ、何日たっても音沙汰がない。

 一方、取材現場で別の取材先の紹介を頼むとその場で電話をかけてくれ、電話先の相手もすぐに応答する。「サンケイと会っても大丈夫なのか」と警戒しつつ取材に応じてくれた相手と打ち解ければ、今度は次の取材先を紹介してくれるといった具合だ。

 韓国社会を取材する上で意外とやっかいなのは、否定的な意味ではない真の「親日派」と接触する機会が多いことだ。日本文化を愛し、日本語も流暢(りゅうちょう)。両国間の歴史問題にも理解の深い人々に囲まれていると、蔓延(まんえん)する反日感情に対する理解は進まない。

 今回面会した研究者の一人は「両国関係改善の必要性を強調する少数の声が大きく伝えられるため、互いに『相手は困っているから、そのうち譲歩するだろう』と考える。むしろ、『反日』『嫌韓』あるいは『無関心』の実態がしっかりと伝わることが大切ではないか」と指摘する。

 韓国の今をより正確に伝えるため、「日本嫌い、サンケイ嫌い」への取材を深めることも必要になるのだろう。“コネ社会の流儀”をしっかりと学び、取材先を開拓していかなければいけない。そう気持ちを新たにした。

【プロフィル】時吉達也

 3年間の韓国留学を経て平成19年入社。社会部で裁判・検察取材を担当し、28年から外信部。平昌五輪や南北・米朝首脳会談を現地で取材した。

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