李康仁、トッテナム移籍浮上か? PSGは5000万ユーロ要求との報道

トッテナム(イングランド)が、フランスのパリ・サンジェルマン(PSG)に所属する韓国代表MF李康仁(イ・ガンイン)選手の獲得に強い関心を示していると報じられている。移籍金は5000万ユーロ(約86億円)に上るとされ、この夏の移籍市場における注目すべき動きとなりそうだ。英タイムズ紙のダンカン・キャッスルズ記者は、「ザ・トランスファーズ・ポッドキャスト」で、「トッテナムはアーセナル行きが濃厚なエベレチ・エゼ(クリスタル・パレス)を逃した後、李康仁獲得に関心を見せている」と伝え、フットボール・トランスファーも同様の情報を報じている。

トッテナムの緊急補強とエゼ獲得失敗の背景

トッテナムは、クリスタル・パレスのエゼ選手を「北ロンドンのライバル」であるアーセナルに奪われる形となり、攻撃的ミッドフィルダーとウィンガーの補強が喫緊の課題となっている。さらに、ノッティンガム・フォレストのモーガン・ギブス・ホワイト選手の獲得にも失敗し、ジェームズ・マディソン選手とデヤン・クルセフスキ選手も負傷で離脱している状況だ。このような背景から、トッテナムは攻撃陣の層を厚くするため、緊急に選手獲得に動いている。代替案としてマンチェスター・シティのサビーニョ選手を狙っているものの、高額な移籍金が交渉の障壁となっているため、ASモナコのマグネス・アクリウシェ選手と李康仁選手が現実的な選択肢として浮上しているという。

PSGの李康仁放出条件と商業的価値

ダンカン・キャッスルズ記者は、トッテナムがこの夏の初めから、昨シーズンはベンチメンバーとなることもあった李康仁選手のPSGからの獲得費用について議論を進めていたと主張している。PSG側は李康仁選手を残留させたい意向があるものの、選手が魅力的なオファーを受け、移籍金と代替選手を獲得する十分な時間があるという条件付きで、放出に応じる姿勢を見せているという。

また、トッテナムにとって李康仁選手獲得は、単なる戦力補強以上の意味を持つ可能性がある。キャッスルズ記者は、孫興憨(ソン・フンミン)選手がロサンゼルスFC(米国)へ移籍した後、トッテナムのダニエル・リービー会長が李康仁選手に関心を示していると伝えている。孫興憨選手が所属していた間、トッテナムはチケット販売やスポンサーシップ、商品販売などで年間4000万~6000万ポンド(約80億~120億円)もの収益を上げており、新たな韓国人スターである李康仁選手を獲得することで、同様の商業的収益を期待できるとの見方がある。李康仁選手の移籍金は5000万ユーロとされているが、アクリウシェ選手やサビーニョ選手よりも安価なオプションとなる可能性も指摘されており、トッテナムは9月1日の移籍市場閉幕前に何らかの動きを見せるだろうとキャッスルズ記者は付け加えている。

昨年の試合でゴールを決め、トッテナムへの移籍が噂される李康仁選手(右)が孫興憨選手と喜びを分かち合う様子昨年の試合でゴールを決め、トッテナムへの移籍が噂される李康仁選手(右)が孫興憨選手と喜びを分かち合う様子

李康仁の現状と他クラブの関心

李康仁選手は、8月23日にパリで行われたアンジェとのフランスリーグ・アン第2節で後半36分に交代出場し、パス成功率100%(17回中17回)を記録してチームの1-0での勝利に貢献したものの、出場時間は約10分にとどまった。彼は14日のトッテナムとの欧州サッカー連盟スーパーカップで挽回ゴールを決めて優勝に寄与し、18日のナントとの開幕戦には先発出場して61分間プレーしたが、ローテーションメンバーとしての立ち位置が再び狭まっているように見える。

フランスのスポーツ紙レキップは8月20日、「李康仁選手がこの夏の移籍市場で自身の選択肢を直接確認したがっている」と報じた。デジレ・ドゥエ選手、ブラッドリー・バルコラ選手、クビチャ・クワラツヘリア選手らとのレギュラー争いに苦戦する李康仁選手は、北中米ワールドカップまで1年も残されていない状況で、自身の将来について再び深く考え始めているという。イングランドのアーセナルやマンチェスター・ユナイテッド、イタリアのナポリなど、複数の欧州主要クラブも李康仁選手の獲得を望んでいるとの話も出ており、今後の動向が注目される。

まとめ

トッテナムの李康仁選手獲得への関心は、負傷者続出と補強失敗に悩むチームの緊急なニーズ、そして孫興憨選手退団による商業的損失を補填するという両面からの戦略的な動きと言える。PSGは放出に条件を付けているものの、選手の現状と他クラブからの関心を考慮すると、移籍の可能性は十分にある。夏の移籍市場が閉まる9月1日までに、李康仁選手の去就に関して大きな動きがあるかもしれない。


参考文献: