皇室の方々が公務に臨まれる際、多くは特別なオーダーメイドのお召し物を着用されます。しかし、秋篠宮家の次女である佳子さまは、独自のスタイルを築かれていることで知られています。ご自身のために仕立てられたお召し物に、市販の服飾品を巧みに組み合わせたスタイリングをされることが頻繁にあります。市販のワンピースにオーダーメイドのジャケットや小物(靴、カバンなど)を合わせるなど、流行を取り入れつつもエレガントでフォーマルな装いを実現されています。この佳子さま流の着こなしはたびたび注目を集め、着用された市販の洋服やアクセサリーが品切れになることも少なくありません。このことから、「令和のファッションリーダー」と称されることもあります。
訪問先への敬意を示す伝統工芸品
佳子さまのファッションは、単なるおしゃれというだけでなく、訪問先への深い配慮が込められている点でも注目されます。2024年9月に鳥取県を訪問された際には、地元の工房で作られた寄木細工のバレッタで髪を留めておられました。翌月に訪問された佐賀県では、佐賀の伝統工芸品である有田焼のイヤリングをご着用。さらに、2025年5月に岐阜県を訪問された際には、岐阜の伝統工芸品である美濃焼のイヤリングを身につけるなど、その土地に合わせたアイテムを選ばれています。これは、訪問先の土地やそこに暮らす人々への敬意を示す、佳子さまならではの細やかなお心遣いの表れと言えます。
公務での装いの佳子さま:独自のファッションスタイル
ブラジル公式訪問に込められた能登へのエール
そうした小さなお気遣いを欠かさない佳子さまですが、2025年6月に行われたブラジルへの公式訪問では、さらに特別なアクセサリーを身に着けておられました。6月12日、ブラジリアを訪問された際、佳子さまは石川県輪島市にある「升井彩 本乾漆店」が手掛けた、輪島塗の技法が施されたイヤリングをご着用になりました。このイヤリングの特徴であるワンポイントの赤い珠は「うるし珠」と呼ばれ、一つ一つ手作業で漆を塗って作られています。
その翌日、リオデジャネイロにある世界遺産「コルコバードの丘」を訪問された際も、やはり輪島市に拠点を置く「代田蒔絵工房」が手掛けた輪島塗のバレッタを身につけておられました。黒と朱色の漆をベースに、貝殻や真珠が散りばめられたエレガントなデザインは、佳子さまの雰囲気に非常によく合っていました。
日本から遠く離れたブラジルで、佳子さまが輪島塗のアクセサリーを身につけられた背景には、特別な理由がありました。2024年、石川県の能登半島は地震や大雨など、相次いで大規模な自然災害に見舞われました。佳子さまは、これらの災害で被害を受けた方々に心を寄せ、2025年4月には自ら輪島市を訪問されました。被災した輪島塗の職人の方々と懇談し、励ましのお言葉をかけられたのです。ブラジルで佳子さまが着用されたイヤリングを手掛けた職人さんも、この時懇談された方の中にいらっしゃったそうです。公式訪問という国内外から注目が集まる場で輪島塗のアクセサリーを身につけることにより、能登の被災地、特に伝統産業に携わる方々へエールを送ろうという佳子さまのお考えがあったのかもしれません。
結び
ブラジルの地で垣間見えた佳子さまの輪島塗に込められた心遣いは、遠く離れた石川にも確かに届いていることでしょう。訪問先の文化や人々への敬意、そして困難に立ち向かう人々への寄り添い。佳子さまのファッションは、単なる装いを超え、眞子さまの温かいお心を伝える大切なメッセージとなっているのです。