元阪神の藤浪晋太郎投手(31)が、マリナーズ傘下の3Aタコマを自由契約となり、日本球界復帰の可能性がにわかに高まっています。2022年オフに阪神からポスティングシステムを利用してメジャーへ挑戦した藤浪投手ですが、ここまでの道のりは平坦ではありませんでした。
藤浪投手はメジャー移籍後、アスレチックス、オリオールズを経て、今季はメッツ傘下マイナーからマリナーズ傘下3Aへと所属を移しました。メジャー昇格を目指してプレーを続けましたが、今回チームを離れることになりました。
マリナーズ傘下3Aタコマを自由契約となり去就が注目される藤浪晋太郎投手
今年の藤浪の成績と制球の問題点
今季の藤浪投手は3Aで21試合に登板し、2勝1敗4ホールド、防御率5.79という成績を残しています。18回2/3を投げて24奪三振を奪うなど、最速161キロを計測するなど圧倒的な球威を見せる一方で、大きな課題はやはり制球力にありました。
スポーツ紙デスクはこう語ります。「今年は18回2/3を投げながら、与四死球は29個(うち死球3)。与四球率は12.54と非常に高かった。一時防御率が13点台(4月22日時点)まで悪化しましたが、直近8試合は無失点と光明も見えた。最速161キロもマークしましたが、今回の自由契約となりました。海の向こうで3年目、まだ31歳という年齢を考えても、次の所属先を探すことになりますが、7月末のトレード期限を待たずに解雇されたのは、今の制球力ではメジャー昇格が難しいという判断でしょう。日本球界復帰の可能性が最も高いと見られています」。代理人のスコット・ボラス氏も「日本を含めて次の働き場所を探す」とコメントしています。
激動の年俸推移と現在の価値
この数年、移籍を繰り返した藤浪投手の年俸は大きく変動しました。2023年にはアスレチックスと年俸325万ドル(約4億7000万円)で単年契約(推定)を結び、前年の阪神での年俸4900万円から「10倍増」と注目されました。2024年もメッツと年俸335万ドル(約4億9000万円)で契約しましたが、今年はマリナーズとマイナー契約を結んでいました。
マイナー契約の年俸は公表されていませんが、一般的に5万~10万ドル程度(約730万~1450万円)とされる水準です。これは前年のメジャー契約の30分の1以下、渡米前の阪神時代の年俸の5分の1以下という水準です。阪神のルーキー伊原陵人投手(年俸1600万円)を下回ります。仮に藤浪投手が日本球界に復帰した場合、マイナー契約の額よりは確実に上乗せされるでしょう。
阪神球団への復帰の可能性
一方、古巣の阪神球団は、ポスティングシステムでのアスレチックス移籍により、年俸の2割にあたる譲渡金65万ドル(約9400万円)を得た経緯があります。オリックス・山本由伸投手の譲渡金(5000万ドル、約72億円)と比べれば微々たる額ですが、この譲渡金があるため、もし阪神に復帰し、移籍前と同じ4900万円を支払ったとしても、単年なら譲渡金分でお釣りがくる計算だという見方もあります。
今回の自由契約により、藤浪晋太郎投手の日本球界復帰は現実味を増しました。メジャーでは制球に苦しみながらも、球威や三振奪取能力は健在だという側面も見せています。現在の年俸水準は大幅に下がっていますが、日本での実績は十分です。果たして、どの球団が彼に手を差し伸べるのか、今後の動向に注目が集まることになります。