スーパーの店頭から米が消えた「令和の米騒動」から一年。その問題は一向に収まる気配を見せず、むしろ今年はさらなる深刻化が懸念されています。石破茂首相(68)が危機打開のために起用した小泉進次郎農林水産大臣(44)の対応には批判の声も上がっており、解決への道筋は見えません。
昨年発生したコメ不足の問題に加え、今年は異常気象が各地の米どころを襲い、新米の価格高騰は避けられない現実となりつつあります。
昨年の問題再燃か:高騰する新米価格と備蓄米の混乱
前編で報じた通り、今年の新米価格は昨年の1.5倍から2倍に高騰する趨勢にあり、すでに業者からは備蓄米に関するクレームが殺到しています。「売れ残るためキャンセルしたい」「店頭陳列は取りやめた」といった声が相次ぎ、流通現場の混乱は続いています。
さらに、今年は記録的な異常気象が日本列島を襲いました。各地で発生した猛暑と水不足、そして局地的な豪雨が水田に壊滅的な打撃を与え、多くの地域で凶作が避けられない状況となっています。このままでは、昨年の米不足が再び現実となり、コメ価格高騰に拍車がかかることは確実です。
異常気象と水不足に見舞われた秋田県の水田、米価格高騰の懸念
猛暑と水不足が襲う:米どころの深刻な被害状況
全国各地の米どころでは、前例のない天候不順により稲作に甚大な農業被害が生じています。
石川県穴水町:稲穂が出ない「未曾有の事態」
石川県穴水町の専業農家、目年健吉さんは「30町歩の田んぼのうち、4割で稲穂が出ていない。長年農業をやっているが、こんなことは初めてだ」と肩を落とします。連日の猛暑と雨不足により水源からの水が行き渡らず、末端の田んぼでは稲の生育が悪化し、枯れたように変色する稲が目立っています。一度枯れてしまった稲は回復が難しく、収穫を諦めざるを得ない状況です。
秋田県秋田市:下流の水田を襲う未曾有の干ばつ
東北地方も深刻な状況にあります。秋田県秋田市で農業を営む男性は、「6月から7月にかけて雨が降らなかったのは未曾有の事態だった」と語ります。川の上流にある田んぼは水が入りましたが、下流へ行くほど凶作の度合いが増し、ちょうど穂が出る時期に水が不足したため、一粒一粒が茶黒く変色。収穫できる部分が激減し、大幅な減収は避けられない見込みです。
新潟県上越市:「干上がり、ヒビ割れた田んぼ」の現実
コシヒカリの産地として知られる新潟県も例外ではありません。上越市の「おおた農場」代表、太田勇さんによると、市内では6月下旬から42日間もまとまった雨が降らず、お盆前にわずかに降った後も雨は途絶え、酷暑が続きました。水田は「完全に干上がってしまい、地面もヒビ割れている」状態です。
お盆前の雨も深いヒビ割れを伝って流れてしまい、田んぼに水が溜まることはありませんでした。太田さんは「田んぼ全体の3分の1は稲が成熟せず赤茶色になってしまった。これは主食として食べられる米にはならない」と嘆きます。収穫量の減少は確実であり、新潟県内のみならず、東北など主要な産地でも同様の状況にあることから、「全国的にコメの収穫量は減り、そうなればコメの値段も上がって、また大騒ぎになるのではないか」と、今後の食料問題を深く憂慮しています。
結論:迫りくる「令和の米騒動」再燃の危機
昨年の米騒動は、備蓄米の不適切な管理と流通の混乱によって引き起こされました。そして今年は、その根底にある構造的問題に加え、全国的な異常気象による水不足と猛暑が稲作に壊滅的な打撃を与えています。主要な産地からの報告が示すように、各地で凶作が避けられない状況であり、今年の新米価格の大幅な上昇、そして米不足の深刻化は現実のものとなりつつあります。
このままでは、日本の食卓を再び混乱に陥れる「令和の米騒動」が再燃する可能性は極めて高く、政府と関係機関には、早急かつ抜本的な対策が求められています。
参考文献